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Genitourinary Cancer Today 2022 No.2
第109回日本泌尿器科学会総会:腎細胞がん

SY17-3 腎細胞癌の手術と薬物療法:どちらを優先するか? Upfront Cytoreductive nephrectomyを優先

近藤 恒徳氏(東京女子医科大学附属足立医療センター 泌尿器科)
更新日:2022年3月15日
進行性腎細胞がんに対するCytoreductive nephrectomy(CN)は、術後の全身治療の可否などの適切な患者選択をすることによって予後改善効果が得られ、免疫チェックポイント阻害薬(IO)時代においてはその有用性が再評価されていることが示された。

転移性腎細胞がんに対してCNよりも薬物療法を優先すべきであるとする根拠には、CARMENA試験やSURTIME試験の結果が挙げられる1,2)
CARMENA試験では、スニチニブ(SU)単独療法のCN+SUに対する非劣勢が示されたが、実臨床に近い患者の予後を知るためにはITT解析ではなく、Per Protocol(PP)解析を行う必要がある。同試験で、計画した治療が実施された患者はCN+SU群184例(81.4%)、SU単独群221例(98.6%)だった。CN+SU群に割り付けられた患者226例のうち16例はCN未施行、26例はSU未投与、SU単独群に割り付けられた患者224例のうち3例がSU未投与であった3)。また、CN+SU群およびSU単独群の50%全生存期間(OS)は、ITT解析で15.6カ月、19.8カ月であった。しかし、実際にCN+SUまたはSU単独による治療を行い、かつ適格であった患者を対象に行ったPP3解析では18.3カ月、17.5カ月と、実臨床を反映すると考えられるPP3解析では両群間で50%OSの明らかな差は認められていない。また、intermediate riskで肺転移のみの患者では、有意差はないもののCN+SU群でOSが延長された。以上のことから、upfront CN自体が予後を悪化させるのではなく、術後に全身治療が行える患者を適切に選択することが重要であると考えられる。
SURTIME試験では、immediate CNよりもdeferred CNの有用性が高いことが示された。しかし、immediate CN群50例のうちCN未施行が4例、CN施行後SU未投与が6例で、結果として10例が脱落しており2)、CN後に全身治療が行えれば予後に差はなかった可能性もある。CN後の全身治療への移行率はCARMENA試験82.3%、SURTIME試験86.9%であるのに対し、自施設では96.1%である。したがって、実臨床では術後全身治療ができるという評価に基づいてCNが施行されており、こうした患者ではCNによる予後の改善が期待できると考えられる。

近年、患者選択に用いるさまざまな指標が発表されている。REMARCC Criteria は6つの因子で腎細胞がんの予後をfavorable、intermediate、poorの3つに分類する。同分類によると腎細胞がんの22%はfavorableに分類される。さらにthe International Metastatic RCC Database Consortium(IMDC)分類のintermediate/poorの13.9%はfavorableへ再分類されたことから、TKI時代に作成されたIMDC分類は十分に予後を反映していない可能性が示唆された4)。Glasgow Prognostic Score(GPS)はCRP値とアルブミン値の組み合わせによって0、1、2点に区分して予後を予測する指標である。当科は、GPSとCN後のOSとの関連を検討し、GPS 2点の患者では CNの有無による差は認められなかったが、GPS 0~1点の患者ではCNによって予後が改善されることを明らかにした5)。前述のCARMENA試験でも、SU単独群226例中40例(18%)は後日CNを施行し、このうち転移巣縮小のための原発巣手術を施行した33例(83%)については予後が改善されていた。しかし、これらの患者は全身治療後に転移巣が縮小したためCNを行っており、当初よりCNを目的として全身治療を先行させたわけではない点に注意が必要である。また、患者選択の観点からPD症例を除外したうえでdeferred CN の有用性を示す報告もあるが2,6)、実臨床ではCNが奏効するPD症例も存在し、the National Cancer Database(NCDB)とIMDCのメタ解析においては、CNの有用性は分子標的治療薬よりもIOの方が高いことが示されている7)

近藤氏は、IO時代におけるupfront CNは、poor riskや転移巣の多い患者を除き、intermediateかつGPS 1点以下、PSが良好でCN後全身治療が見込める、血尿や疼痛がある、原発巣が腸管に近い、などの患者には考慮すべきであるとまとめた。

1)Méjean A, et al. N Engl J Med. 2018; 379(5): 417-27.
2)Bex A, et al. JAMA Oncol. 2019; 5(2): 164-70.
3)Méjean A, et al. Eur Urol. 2021; 80(4): 417-24.
4)Marchioni M, et al. Eur Urol Oncol. 2021; 4(2): 256-63.
5)Fukuda H, et al. Int J Clin Oncol. 2018; 23(3): 539-46.
6)de Bruijn R, et al. Eur Urol Oncol. 2020; 3(2): 168-73.
7)Hall ME, et al. Cancer Causes Control. 2021; 32(7): 675-80.