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Genitourinary Cancer Today 2021 No.3
ASCO 2021:腎細胞がん

#LBA5 腎細胞がん患者に対する腎摘除術後の補助療法としてペムブロリズマブとプラセボを比較検討:無作為化二重盲検第Ⅲ相試験KEYNOTE-564

Pembrolizumab vs placebo as post nephrectomy adjuvant therapy for patients with renal cell carcinoma: Randomized, double-blind, phase 3 KEYNOTE-564 study
Toni K. Choueiri 氏 (Dana-Farber Cancer Institute, USA)
更新日:2021年8月2日
腎細胞がん(RCC)に対する腎摘除術後の補助療法として、ペムブロリズマブの有効性を検討した無作為化二重盲検第Ⅲ相試験KEYNOTE-564(NCT03142334)の結果から、ペムブロリズマブは無病生存期間(DFS)を有意に延長させたことが明らかとなった。

腎摘除術は限局性RCCの標準治療であるが1,2)、半数近くの患者が術後再発するとされている3-5)。また、標準治療として世界的に認められたエビデンスレベルの高い術後補助療法はまだない。

本試験は、淡明細胞型RCCと診断され、腎摘除術から12週以内で、全身治療歴がなく、ECOGパフォーマンスステータス(PS)が0または1、PD-L1発現評価のための組織検体が提出可能な患者994例を対象とし、ペムブロリズマブ(200mg 3週毎静注、最長1年間)を単剤投与するPEMBRO群に496例、プラセボ群に498例を無作為割り付けした。主要評価項目は治験担当医師が評価したDFS、主な副次評価項目は全生存期間(OS)、その他の副次評価項目は安全性などだった。無作為化からデータカットオフ(2020年12月14日)までの期間中央値は24.1カ月だった。

本試験では、事前に術後の再発リスクを中/高リスク、高リスク、M1 NED(No evidence of disease)に分類した。中/高リスクはpT2、グレード4または肉腫様、リンパ節転移なし(N0)、内臓転移なし(M0)の患者と、pT3の全グレード、N0、M0の患者、高リスクはpT4の全グレード、N0、M0の患者と、ステージおよびグレードにかかわらず、リンパ節転移陽性(N+)、M0の患者とした。M1 NEDは腎摘除術と同時または術後1年以内に施行したオリゴ転移巣切除後に原発巣および転移巣ともに完全切除が確認された患者とした。

ベースラインの患者背景は2群間で差はなく、年齢中央値はいずれも60歳、ECOG PSは0がPEMBRO群84.9%、プラセボ群85.5%、再発リスク分類は中/高リスクがそれぞれ86.1%、86.9%、高リスクが8.1%、7.2%、M1 NEDはいずれも5.8%だった。PD-L1発現状態はCPS*1未満はPEMBRO群25.0%、プラセボ群22.7%、CPS 1以上はそれぞれ73.6%、76.9%だった。

DFS中央値は2群とも未到達であった。ハザード比(HR)は0.68(95% 信頼区間[CI]: 0.53 – 0.87、p=0.0010)でPEMBRO群が有意に延長していた。12カ月無病生存率はPEMBRO群の85.7%に対しプラセボ群76.2%、24カ月無病生存率はそれぞれ77.3%、68.1%だった。サブグループ解析においても、一部のグループはイベント数が少なく解釈には注意が必要であるものの、一貫してPEMBRO群が優位であった。

本発表ではOSの中間解析も報告された。イベント数は51例と少なく中央値はいずれも未到達で、HRは0.54(95% CI: 0.30 – 0.96、p=0.0164)、統計的有意差は認められなかった。12カ月 全生存率はPEMBRO群98.6%、プラセボ群98.0%、24カ月全生存率はそれぞれ96.6%、93.5%だった。追跡は今後も継続され、最終解析はイベント数が約200例に達した後に行う予定である。

有害事象(AE)の発現率はPEMBRO群96.3%、プラセボ群91.1%、このうちグレード3~5はそれぞれ32.4%、17.7%とPEMBRO群が高かった。治療中止に至ったのはそれぞれ20.7%、2.0%、死亡が0.4%、0.2%だった。重篤なAEはそれぞれ20.5%、11.3%、グレード3~5の治療関連AEは18.9%、1.2%だった。PEMBRO群で5%以上みられた治療関連AEは倦怠感20.3%(プラセボ群14.3%)、搔痒18.6%(同11.5%)、甲状腺機能低下症17.6%(同2.6%)、下痢15.8%(同10.3%)、発疹15.0%(同7.3%)、甲状腺機能亢進症10.2%(同0%)、関節痛9.4%(同8.7%)、悪心8.0%(同4.6%)、筋肉痛6.1%(同4.0%)、無力症5.7%(同4.6%)で、新たな安全性シグナルは観察されなかった。免疫介在性AEに対する高用量ステロイド(≧40 mg/日)による全身治療は、PEMBRO群7.4%、プラセボ群0.6%で行われた。

以上の結果からChoueiri氏は、本試験はRCCに対する術後補助免疫療法の有効性を示した初めての第Ⅲ相試験であるとし、ペムブロリズマブはRCCの術後補助療法として新たな標準治療となる可能性があると述べた。
  
*CPS(Combined Positive Score):全腫瘍細胞数中のPD-L1陽性腫瘍細胞とPD-L1陽性免疫細胞の割合

1) Bray F, et al. CA Cancer J Clin. 2018; 68(6): 394-424. 
2) NCCN. Kidney cancer (version 6.2021)
3) Smaldone MC, et al. Hematol Oncol Clin North Am. 2011; 25(4):765-91. 
4) Sun M, et al. Eur Urol. 2018; 74(5): 611-20.
5) Correa AF, et al. J Clin Oncol. 2019; 37(23): 2062-71. 
 
監修 亭島 淳先生のコメント
RCCに対する腎摘除術後の補助療法としてのペムブロリズマブの効果を示したKETNOTE-564試験の結果である。リスクレベルの高いRCCに対し術後にペムブロリズマブを1年間投与することでDFSの有意な改善がみられている。この結果は、RCCに対する術後補助療法としてペムブロリズマブが標準的な選択肢となることを期待しうるインパクトの大きいものである。その一方で、サブグループ解析では若い症例やPS良好な症例において特に有効性が認められている。また、ペムブロリズマブ群において重篤な有害事象は比較的少なかったが、免疫関連有害事象のリスクは念頭に置いておくべきであり、安全性と効果のバランスを考慮した適切な症例選択が必要といえる。