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Genitourinary Cancer Today 2021 No.3
ASCO 2021:腎細胞がん

#4500 進行性淡明細胞型腎細胞がんに対する一次治療としてペムブロリズマブ+アキシチニブ併用療法とスニチニブ単独療法の比較:KEYNOTE-426試験の観察期間42カ月の解析結果

Pembrolizumab plus axitinib versus sunitinib as first-line therapy for advanced clear cell renal cell carcinoma: Results from 42-month follow-up of KEYNOTE-426
Brian I. Rini氏 (Vanderbilt-Ingram Cancer Center, USA) 
更新日:2021年8月2日
KEYNOTE-426試験の最終解析の結果、局所進行性または転移性腎細胞がん(RCC)の一次治療として、ペムブロリズマブ+アキシチニブ併用療法はスニチニブ単独療法と比べ、観察期間中央値42.8カ月の長期追跡においても、高い有効性が認められた。

本試験では、新規診断または再発のステージⅣ淡明細胞型RCCで、全身治療歴がなく、測定可能な病変を有する患者861例を対象に、ペムブロリズマブ(200mg 3週毎静注、最大35サイクル)とアキシチニブ(5mg 1日2回経口投与)を併用する群(PEMBRO+AXI群:432例)と、スニチニブ(50mg 1日1回経口投与、4週投与2週休薬)を単独投与する群(SUN群:429例)に無作為割り付けした。主要評価項目は、ITT集団における全生存期間(OS)と盲検下独立中央判定委員会(BICR)の評価(RECIST v1.1)による無増悪生存期間(PFS)とし、主な副次評価項目はBICR評価の奏効率(ORR)、その他の副次評価項目は奏効期間(DOR)、安全性などだった。

1回目の中間解析においてペムブロリズマブ+アキシチニブ併用療法はスニチニブ単独療法に比べ、有意な有効性が示され1)、観察期間中央値を30.6カ月に延長した解析においても優れた有効性が継続することが確認されている2)。今回はデータカットオフを2021年1月11日とした、事前に計画された有効性および安全性の最終解析結果が報告された。観察期間中央値は42.8カ月、最短観察期間は35.6カ月だった。

ベースラインの患者背景は年齢中央値がPEMBRO+AXI群62歳、SUN群61歳、IMDCリスク分類の低リスクはそれぞれ31.9%、30.5%、中リスク55.1%、57.3%、高リスク13.0%、12.1%だった。転移臓器数が2つ以上の症例はPEMBRO+AXI群72.9%、SUN群77.2%、腎摘除術歴を有する割合がそれぞれ82.6%、83.4%だった。

データカットオフ時に、PEMBRO+AXI群では62例(14.5%)が治療を継続中で、治療を中止していた349例(81.4%)のうち58.4%がPD-1/PD-L1阻害薬(21.6%)やVEGF/VEGFR阻害薬(88.2%)による後続治療を受けていた。一方、SUN群では40例(9.4%)が治療継続中で、中止した385例(90.6%)のうち73.0%が後続治療を受け、うち74.4%がPD-1/PD-L1阻害薬を、68.7%がVEGF/VEGFR阻害薬による治療を受けていた。

OS中央値は、PEMBRO+AXI群45.7カ月、SUN群40.1カ月(ハザード比[HR] 0.73、95% 信頼区間[CI]: 0.60 – 0.88、p<0.001)だった。18カ月全生存率はPEMBRO+AXI群81%、SUN群72%、36カ月全生存率はそれぞれ63%、54%だった。PFS中央値はPEMBRO+AXI群15.7カ月、SUN群11.1カ月(HR 0.68、95% CI: 0.58 – 0.80、p<0.0001)、18カ月無増悪生存率はそれぞれ48%、35%、36カ月無増悪生存率はそれぞれ29%、15%だった。

ORRはPEMBRO+AXI群60.4%、SUN群39.6%(p<0.0001)、完全奏効(CR)はそれぞれ10.0%、3.5%だった。DOR中央値はPEMBRO+AXI群23.6カ月、SUN群15.3カ月で、DORが12カ月以上だった割合はPEMBRO+AXI群71.1%、SUN群62.2%、24カ月以上(ペムブロリズマブ投与終了)がそれぞれ48.9%、37.1%、30カ月以上は44.5%、32.1%だった。

またサブグループ解析では、IMDCリスク分類の低リスク(PEMBRO+AXI群138例、SUN群131例)におけるOSはHR 1.17(95%CI: 0.76 – 1.80)で、2群間に差がなかった。中リスク/高リスク(PEMBRO+AXI群294例、SUN群298例)におけるOSのHRは0.64(95%CI: 0.52 – 0.80)だった。PFS中央値は、低リスクではPEMBRO+AXI群が20.7カ月、SUN群17.8カ月(HR 0.76、95%CI: 0.56 – 1.03)、中リスク/高リスクでは、PEMBRO+AXI群が13.8カ月、SUN群8.2カ月(HR 0.67、95%CI: 0.55 – 0.81)だった。ORRは、低リスクではPEMBRO+AXI群68.8%(うちCR 11.6%)、SUN群50.4%(うちCR 6.1%)、中リスク/高リスクではPEMBRO+AXI群56.5%(うちCR 9.2%)、SUN群34.9%(うちCR 2.3%)だった。

治療関連の有害事象(AE)は、PEMBRO+AXI群96.3%(グレード3~5は67.8%)、SUN群97.6%(同63.8%)に発現した。死亡例はそれぞれ4例(0.9%)、7例(1.6%)だった。主なAEはどちらも、下痢、高血圧、甲状腺機能低下症、疲労、手掌足底発赤知覚不全症候群、ALT高値、AST高値、食欲不振など、これまでの報告と概ね同様だった。免疫関連など特に注意すべきAEは2群とも甲状腺機能低下症が最も多く、次いで甲状腺機能亢進症の発現が認められた。

1)  Rini BI, et al. N Engl J Med. 2019; 380(12): 1116-27.
2)  Powles T, et al. Lancet Oncol. 2020; 21(12): 1563-73.
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監修 亭島 淳先生のコメント
アキシチニブ+ペムブロリズマブ併用療法の有効性を示したKEYNOTE-426試験の、42か月間の観察期間における報告である。この最終解析の結果においても、これまでの報告同様にその高い有効性が維持されている。本試験ではペムブロリズマブの投与が2年間で終了されているなど実臨床と異なる点もあるため、実臨床における長期経過の検証は今後も必要と思われる。アキシチニブ+ペムブロリズマブ併用療法はすべてのリスクレベルが適応とされている。しかし、今回の報告においてもこれまで同様に、特に中リスク/高リスク群でOS、ORRともスニチニブ群との差が顕著であることは、本レジメンの選択を検討するうえで念頭に置くべき知見である。
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