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Genitourinary Cancer Today 2022 No.5
APCCC 2022

セッション3:転移性ホルモン感受性前立腺がんの疾患管理

Session3: Management of metastatic hormone-sensitive prostate cancer (mHSPC)

転移性ホルモン感受性前立腺がんにおける治療強化戦略:3剤併用など

Treatment intensification strategies in mHSPC: Triplets and more
Christopher Sweeney氏(Dana-Farber Cancer Institute) 
更新日:2022年11月14日
Sweeney氏は転移性ホルモン感受性前立腺がん患者をde novo高腫瘍量、de novo低腫瘍量、異時性(局所治療後)高腫瘍量、異時性低腫瘍量の4つのサブグループに分類し、ADTとの2剤併用および3剤併用を含めた治療強化戦略のエビデンスを総括した。

De novo高腫瘍量の患者グループでは、ADT+ドセタキセル(DOC)の2剤併用(CHAARTED試験、GETUG-AFU15試験、STAMPEDE試験アームC)1-3)、およびADT+新規ホルモン療法(NHT)の2剤併用(LATITUDE試験、STAMPEDE試験アームG、ENZAMET試験、TITAN試験、ARCHES試験)4-8)がADT単独療法と比べ全生存期間(OS)を延長させたことが示されている。またADT+DOC+NHTの3剤併用はADT+DOC 併用との比較でPEACE-1試験(ADT+DOC+アビラテロン[ABI]:ハザード比[HR]0.72)9)とARASENS試験(ADT+DOC+ダロルタミド:HR 0.71)10)において有意なOSベネフィットを示した。しかし、ADT+DOC+NHTとADT+NHTを直接比較したデータはまだない。

De novo低腫瘍量の患者グループではADT+局所放射線療法(RT)がHORRAD試験とSTAMPEDE試験の統合解析で顕著なOS延長を示しており(HR 0.73、95%CI: 0.58 – 0.92、p=0.0071)11)、DOC追加より一貫性があり、かつ強力な有効性が得られ、さらに患者への負荷が少ないとSweeney氏は考察している。またADT+NHT併用もADT単独と比して優れたOS延長効果を示している(LATITUDE試験、STAMPEDE試験、ENZAMET試験、TITAN試験、ARCHES試験)4-8)
同患者グループではADT+DOC+ABIのOSはADT+DOCと同等であった(PEACE-1試験:HR 0.83、p=0.66)9)。またADT+局所RT+ABIとADT+局所RTを比較したデータは PEACE-1試験の解析待ちで、ADT+局所RT+NHTとADT+NHTの比較、およびADT+DOC+NHTとADT+NHTの比較を検討したデータはまだない。

異時性高腫瘍量の患者グループは臨床試験に登録された被験者数が少ないが、ADT+DOC併用( vs ADT単独)、またADT+DOC+ダロルタミド(vs ADT+DOC併用)が、それぞれOSベネフィットを有する可能性が示唆されている1,10)

異時性低腫瘍量の患者グループではADTにDOCを追加することによるOSベネフィットはなく(CHAARTED試験とGETUG-AFU 15試験のメタ解析:HR 1.07)、また体幹部定位放射線療法(SBRT)早期導入による去勢抵抗性のない生存期間(CRPC-Free survival)の延長効果も示されなかった(STOMP試験)12)。一方、ADT+エンザルタミドはADT+NSAAとの比較でOS延長効果が示されており(ENZAMET試験:HR 0.40)13)、ホルモン療法強化による有効性が期待される。また上述のde novo 2グループと同様、異時性2グループにおいてもADT+DOC+NHTとADT+NHTを直接比較したデータはない。

Sweeney氏は、ADT+NHTにDOCを追加した3剤併用の有効性は今後ENZAMET試験データやSTOPCaP研究でのメタ解析などで明らかにしていくことが極めて重要であるとした。また、異時性低腫瘍量の患者グループにおけるSBRTを含めた併用療法のシークエンス(ADT+NHT→ SBRT vs ADT+NHT+SBRT同時併用 vs SBRT→ADT+NHT)に関する検討も行う必要があると強調した。


1)Kyriakopoulos CE, et al. J Clin Oncol. 2018; 36(11): 1080-7.
2)Gravis G, et al. Eur Urol. 2018; 73(6): 847-55.

3)Clarke NW, et al. Ann Oncol. 2019; 30(12): 1992-2003.
4)Fizazi K, et al. Lancet Oncol. 2019; 20(5): 686-700.
5)James N, et al. Ann Oncol. 2020; 31(suppl 4): S509.
6)Davis ID, et al. N Engl J Med. 2019; 381(2): 121-131.
7)Chi KN, et al. J Clin Oncol. 2021; 39(20): 2294-303.
8)Armstrong AJ, et al. Ann Oncol. 2021; 32(suppl 5): S1300-1.
9)Fizazi K, et al. Lancet. 2022; 399(10336): 1695-707.
10)Smith MR, et al. N Engl J Med. 2022; 386(12): 1132-42.
11)Burdett S, et al. Eur Urol. 2019; 76(1): 115-24.
12)Ost P, et al. J Clin Oncol. 2020; 38(suppl 6):10.
13)Sweeney CJ, et al. Eur Urol. 2021; 80(3): 275-9.
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