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Genitourinary Cancer Today 2023
ESMO Congress 2023:膀胱がん

#LBA7 未治療の切除不能または転移性尿路上皮がんにおけるニボルマブ+ゲムシタビン-シスプラチン併用療法とゲムシタビン-シスプラチン単独療法の比較:第Ⅲ相CheckMate 901試験の結果

Nivolumab Plus Gemcitabine-Cisplatin versus Gemcitabine-Cisplatin Alone for Previously Untreated Unresectable or Metastatic Urothelial Carcinoma: Results from the Phase 3 CheckMate 901 Trial
Michiel S. van der Heijden先生(Netherlands Cancer Institute)
更新日:2023年12月5日

未治療の切除不能または転移性尿路上皮がん(UC)患者を対象に、ニボルマブとゲムシタビン-シスプラチン(NIVO+GC)の併用療法とゲムシタビン-シスプラチン(GC)単独療法とを比較検討した第Ⅲ相CheckMate 901試験の結果、NIVO+GC併用療法は、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)において、統計学的有意かつ臨床的意義のある改善を示したことが分かった。


本試験の対象は、ECOG PSが0~1で、シスプラチンを含む化学療法が適格とされる未治療の切除不能または転移性のUC患者608例であった。NIVO+GC併用群とGC単独群にそれぞれ304例ずつ無作為化し、NIVO+GC併用群には、まず3週ごとにニボルマブ360mgを1日目、ゲムシタビン1,000 mg/㎡を1日目と8日目、シスプラチン70mg/㎡を1日目に静脈内投与し最長6サイクル施行した後、ニボルマブ480 mgを単独で4週ごとに最長24カ月投与した。GC単独群は、NIVO+GC併用群と同量のゲムシタビン-シスプラチンを3週ごとに最長6サイクルまで投与した。層別化因子は、PD-L1発現状況(1%以上 vs 1%未満)と肝転移の有無であった。


主要評価項目はOSと盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS、主な副次評価項目はPD-L1発現が1%以上の被験者のOSとPFS、および健康関連QOLであった。また探索的評価項目として、BICRによる奏効率(ORR)や安全性などが設定された。


ベースラインの患者背景に関しては2群間に差はなかった。治療期間の中央値はNIVO+GC併用群が7.4カ月、GC単独群は3.7カ月で、6サイクル完遂した割合はそれぞれ74%、55%であった。


観察期間中央値33.6カ月の最終解析の結果、NIVO+GC併用群のOSはGC単独群と比べ有意に延長した。ハザード比(HR)は0.78(95% CI: 0.63 – 0.96、p=0.0171)、OS中央値はNIVO+GC併用群が21.7カ月、GC単独群が18.9カ月、12カ月OS率は各70.2%、62.7%、24カ月OS率は各46.9%、40.7%であった。サブグループ解析では、ほとんどのサブグループにおいてNIVO+GC併用群にOS延長が認められた。


BICRによるPFSにおいても、NIVO+GC併用群は、GC単独群に対して有意な改善を示した。HRは0.72(95% CI: 0.59 – 0.88、p=0.0012)、PFS中央値はNIVO+GC併用群7.9カ月、GC単独群7.6カ月、12カ月PFS率は各34.2%、21.8%、24カ月PFS率は各23.5%、9.6%であった。サブグループ解析からは、OSと同様にほとんどのグループにおいてNIVO+GC併用群の優位性が示された。


BICRによるORRは、NIVO+GC併用群が57.6%、GC単独群が43.1%、このうち完全奏効(CR)率はそれぞれ21.7%、11.8%で、いずれもNIVO+GC併用群のほうが高かった。奏効期間中央値はNIVO+GC併用群が9.5カ月、GC単独群が7.3カ月で、CRの持続期間中央値はそれぞれ37.1カ月、13.2カ月であった。


グレード3以上(G≧3)の治療関連有害事象(TRAE)は、NIVO+GC併用群の62%、GC単独群の52%に発現し、投与中止に至った割合はそれぞれ11%、8%であった。安全性プロファイルは既報と一致しており、毒性における新たなシグナルは見つからなかった。


また、健康関連QOL (EORTC QLQ-C30による16週間の評価)は、両群ともベースラインからほとんど変化なく安定しており、ニボルマブを追加しても維持されることが示された。


以上よりHeijden氏は、本試験は切除不能または転移性UC集団の一次治療としてOSを有意に改善した初めての試験であり、今後NIVO+GC併用療法が新たな標準治療になる可能性を支持する結果となったとまとめた。

(Shoichiro Iwase, 岩瀬 昭一郎)

アンカー 1
監修 北村 寛先生のコメント
CheckMate 901はIMvigor130やKEYNOTE-361では示せなかった化学療法+免疫チェックポイント阻害薬の有効性を見事に示した。しかし、EV-302と発表学会が同じで、しかもEV-302の後の発表となり、普通の発表になってしまった。例えるなら、世界新記録を出したのに、それよりも遥かに凄い記録で別の選手に優勝されてしまい、歴史に名を刻めなかったアスリートのようである。試験群のプロトコール治療は、NIVO (360mg)+GCを3週ごと6サイクル行い、以後NIVO 480mgを4週ごと、最大24カ月続けるというものであった。本治療の利点を挙げるなら、EV+Pと比較して毒性が軽微でQOLを維持しやすい点であろう。DORの生存率曲線からは、約25%の患者がNIVO+GCにより長期間レスポンスを維持しているように見える。このようなresponderを治療前に特定できれば、本治療は第一選択となり得る。バイオマーカー研究の結果が待たれる。
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