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Genitourinary Cancer Today 2025 No.1
ASCO-GU 2025:膀胱がん

#664 EV-302試験:未治療の局所進行性または転移性尿路上皮がん(la/mUC)に対するエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ(EV+P)併用療法と化学療法を比較した国際共同第Ⅲ相試験の最新解析

EV-302: Updated analysis from the phase 3 global study of enfortumab vedotin in combination with pembrolizumab (EV+P) vs chemotherapy (chemo) in previously untreated locally advanced or metastatic urothelial carcinoma (la/mUC)
Thomas Powles 先生(Barts Cancer Centre, London)
更新日:2025年4月14日
治療歴のない局所進行性または転移性尿路上皮がん(la/mUC)の一次治療として、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ(EV+P)併用療法と、化学療法とを比較した国際共同第Ⅲ相試験 EV-302/KEYNOTE-A39試験について追跡期間中央値2.5年に延長した最新の解析結果、および完全奏効を得られた患者についての探索的解析結果が報告された。

EV-302/KETNOTE-A39試験の主要解析の結果、EV+P併用療法は化学療法に比べ、無増悪生存期間(PFS)中央値および全生存期間(OS)中央値を2倍近く延長したことから1)、EV+P併用療法は多くの国で承認され、世界中で広くla/mUCの標準的な一次治療としてガイドラインに記載されている2,3)

本試験の対象は、PD-L1の発現にかかわらず、プラチナ製剤、エンホルツマブ ベドチン、ペムブロリズマブに適格で、PD-1/L1阻害薬の治療歴がない、未治療のla/mUC患者であった。886例が登録され、442例がEV+P併用群に、444例が化学療法群(シスプラチンまたはカルボプラチン+ゲムシタビン)に無作為に割り付けられた。

主要評価項目は、盲検下独立中央判定(BICR)によるPFSとOSの2項目、副次評価項目はBICRおよび治験医師判定によるRECIST v1.1に基づく全奏効率(ORR)、安全性などであった。

今回報告されたのは主要解析から、さらに1年追跡したデータであった。追跡期間中央値29.1カ月(95%CI:28.5 – 29.9)時点で、EV+P併用群の12%は同治療を継続しており、化学療法群で同治療を継続している患者はいなかった。またEV+P併用群の49%、化学療法群の30%が試験を継続していた。

主要評価項目のPFS中央値は、EV+P併用群は12.5カ月、化学療法群は6.3カ月、ハザード比(HR)は0.48(95% CI: 0.41 – 0.57、両側の名目上のp<0.00001)で、EV+P併用群で有意な延長が認められた。サブグループ解析の結果からは、年齢(65歳以上、65歳未満)、性別、全身状態(ECOG PS 0、1~2)、原発巣の部位(上部尿路、下部尿路)、肝転移の有無、PD-L1発現(高発現、低発現)、シスプラチン適格の有無などの全項目において、一貫したEV+P併用群の優位性が示された。

またOS中央値についても、EV+P併用群が33.8カ月、化学療法群は15.9カ月(HR 0.51、95% CI: 0.43 – 0.61、両側の名目上のp<0.00001)で、EV+P併用群に有意な延長が示された。PFSの結果と同様に、どのサブグループにおいてもEV+P併用群の優位性は一貫していた。

シスプラチン適格の有無別のOSも報告された。シスプラチン適格コホートにおけるOS中央値はEV+P併用群が36.7カ月、化学療法群は18.7カ月(HR 0.54、95%CI: 0.42 – 0.70)、シスプラチン非適格コホートにおけるOS中央値はEV+P併用群が25.6カ月、化学療法群は12.7カ月(HR 0.50、95%CI: 0.39 – 0.64)とシスプラチン適格の有無にかかわらず、OSベネフィットは一貫していた。

副次評価項目のORRは、EV+P併用群が67.5%(このうち完全奏効[CR]30.4%、部分奏効[PR]37.1%、以下同順)、化学療法群44.2%(各14.5%、29.7%)で、EV+P併用群が有意に高かった(両側の名目上のp<0.00001)。

CRまたはPRが得られた患者における奏効期間(DOR)中央値は、EV+P併用群が23.3カ月、化学療法群は7.0カ月だった。またEV+P併用療法により奏効(CRまたはPR)を得られた患者では、24カ月時点で約半数の患者において奏効の持続が認められ、さらにCRが得られた患者では、24カ月時点で74.3%の患者において奏効が持続していた。

安全性については、新たな安全性シグナルは認められなかった。

Powles氏は結論として、これらの結果は、EV+P 併用療法がla/mUCの一次治療として、標準治療であることを裏付けるものであると述べた。


1) Powles T, et al. N Engl J Med. 2024; 390(10): 875-88.
2) Powles T, et al. Ann Oncol. 2024; 35(6): 485-90.
3) Witjes JA, et al. Eur Urol. 2024; 85(1): 17-31. 
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監修 北村 寛先生のコメント
EV+Pは、本邦においても新たな一次治療レジメンとして定着した。本演題ではEV-302/KEYNOTE-A39の2.5年フォローアップ解析が発表され、1年間フォローアップ期間を延長しても、PFSおよびOSのハザード比はほぼ同等であった。本発表で最もインパクトがあったデータはCRが得られた患者の効果持続期間で、EV+P群では2年で74.3%がCRを維持しているだけでなく、その後のイベントがみられていない。つまり、この生存率曲線は2年以降74.3%のまま、いわゆるtail plateauになっている。これらの患者では治癒が得られているのか、興味深い。また、データカットオフ時点で12%の患者がプロトコール治療を継続していたが、新たなsafety signalは認められなかった。EVをどのように続けているのかも知りたいところである。
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