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Genitourinary Cancer Today 2022 No.3
ASCO-GU 2022:腎細胞がん

#302 転移性腎細胞がん患者における一次治療の治療パターンと治療順序の変化に関するリアルワールドデータ

Real-world Assessment of Changing Treatment Patterns and Sequence for Patients with Metastatic Renal Cell Carcinoma in the First-line Setting
Neil J. Shah氏(Memorial Sloan Kettering Cancer Center, USA) 
更新日:2022年4月20日
米国の転移性腎細胞がん(mRCC)患者における治療パターンと治療シークエンスの実態を、後ろ向きコホート研究で検討した結果、新規の免疫療法(IO)は、FDA承認を取得してから一次治療(1L)で併用される割合が大きく増加していた。また二次治療(2L)の選択は1Lで受けた治療法によって決定しており、1LでIOベースの治療を受けた患者のほとんどは2Lでチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)を、1LでTKIを投与された患者の多くはIOベースのレジメンを受けていた。

解析には、The US Oncology Network(がん治療全米ネットワーク)のデータと、同ネットワーク傘下以外で電子医療記録システムiKnowMedを使用する医療施設のデータを用いた。2018年1月1日~2020年9月30日にmRCCの診断を受け、診断後2回以上の診療を受けた成人患者で、同期間に1LとしてIO+TKI(ペムブロリズマブ+アキシチニブまたはアベルマブ+アキシチニブ)かIO+IO(イピリムマブ+ニボルマブ)、またはTKI単独療法(パゾパニブ、カボザンチニブ、スニチニブ、アキシチニブ)を開始した1,538例が解析対象であった。

1Lの種類はIO+TKIが279例、IO+IOが641例、TKI単独療法が618例であった。コホート全体の年齢中央値は67.1歳、男性比率はIO+TKIコホートが68.8%、IO+IOコホートが73.6%、TKI単独療法コホートが66.7%、淡明細胞型がそれぞれ85.7%、81.7%、72.0%、中/高リスク(IMDC分類)がそれぞれ85.7%、93.6%、80.7%だった。観察期間の中央値はそれぞれ7.2カ月、8.5カ月、7.8カ月だった。

1Lのレジメンを時系列に見ていくと、2018年上半期はTKI単独療法が76.9%を占め、IO+IO が23.1%、同年下半期ではTKI単独療法53.4%、IO+IOは46.6%だったが、2019年上半期はTKI単独療法とIO+IOの割合が逆転し IO+IO が50.2%、TKI単独療法42.1%、そしてIO+TKIが7.7%であった。同年下半期はIO+IOが43.8%、IO+TKIが32.2%に増加、TKI単独療法は24.0%、2020年上半期はIO+IO 40.7%、IO+TKI 33.6%、TKI単独療法25.7%、同年第3四半期はIO+IO 41.9%、IO+TKI 31.3%、TKI単独療法26.9%で、IO+IOとIO+TKIの選択率がFDA承認取得後に上昇していったことが示された。

2LはIO+TKIコホートの53例(19.0%)、IO+IOコホートの247例(38.5%)、TKI単独療法コホートの235例(38.0%)が受けていた。2Lの治療薬は、IO+TKIコホートでカボザンチニブ27例(50.9%)、イピリムマブ+ニボルマブ12例(22.6%)、IO+IOコホートではカボザンチニブ120例(48.6%)、パゾパニブ30例(12.1%)、ペムブロリズマブ+アキシチニブ25例(10.1%)、アキシチニブ19例(7.7%)、スニチニブ17例(6.9%)、TKI単独療法コホートはニボルマブ105例(44.7%)、イピリムマブ+ニボルマブ46例(19.6%)、カボザンチニブ15例(6.4%)、ペムブロリズマブ+アキシチニブ14例(6.0%)、パゾパニブ12例(5.1%)であった。
 
監修 小原 航先生のコメント
新規薬物治療がFDA承認を受けた前後での治療パターンを調査した貴重なリアルワールドデータである。一次治療として、IO+IO、IO+TKIの順に承認を受けた直後に使用される割合が増えていったが、その後は一定の傾向を示している。また、IO併用療法の承認後も、TKI単独療法が25%の症例に対して使用され続けている点も興味深い。予想されたようにIO+IO、IO+TKI後の二次治療としてはカボザンチニブが多く、TKI単剤後はニボルマブが多かった。今後は、新たに承認されたIO+TKIも含めた治療パターンに注目していきたい。
(森永知美 / Tomomi Morinaga)