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Genitourinary Cancer Today 2022 No.3
ASCO-GU 2022:腎細胞がん

#289 腎摘出術後再発リスクの高い局所腎細胞がん患者における、アベルマブ+アキシチニブの術前補助療法の有効性、安全性およびバイオマーカー解析(NeoAvAx試験)

Efficacy, safety and biomarker analysis of neoadjuvant avelumab/axitinib in patients with localized renal cell carcinoma who are at high risk of relapse after nephrectomy (NeoAvAx)
Axel Bex氏(Netherlands Cancer Institute, Netherlands) 
更新日:2022年4月20日
非転移性の高リスク淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)患者を対象に、術前補助療法としてアベルマブとアキシチニブ併用を12週間施行した第Ⅱ相単群試験の結果、被験者の30%が原発巣の部分奏効(PR)に至った。局所進行高リスクRCC患者において、免疫チェックポイント阻害薬とVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害薬(VEGFR-TKI)併用の術前補助療法を検討したのは、本試験が初めてである。

主な適格基準は、高リスクのccRCC患者(TNM分類とFuhrman gradeを組み合わせたハイブリッド方法で決定、①cT1b~T2a, cN0, cM0, G4、②cT2b~T3a, cN0, cM0, G3~4、③cT3b~T4, cN0, cM0, G問わず、④cT問わず,cN1[全切除可能なもの], cM0, G問わず、のいずれかに該当する患者)、WHOパフォーマンスステータスが0または1、18歳以上などであった。2018年5月~2021年10月の間に40例が登録され、術前にアキシチニブ5~10 mg(1日2回投与)を12週間投与(投与開始から4週間後に忍容性良好の場合は7mgに、8週間後に良好の場合は10 mgに増量)およびアベルマブ(10 mg/kg 2週毎静注)を6コース施行した。

主要評価項目は、RECIST v1.1で原発巣のPR率が25%以上に達することとした。副次評価項目は無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)、安全性および忍容性であった。
患者背景は、年齢中央値63歳、TNM分類は90%がT3a以上で(T3a 60%、T3b 10%、T4 20%)、Fuhrman gradeはG1~2が67.5%であった。ベースラインの平均腫瘍径は10.3 cm、リンパ節直径は2.6 cmであった。

解析の結果、12例(30%)がPRを達成した。原発巣の縮小率の中央値は20%であった。PR 12例のうち10例(83%)が無病生存であった。原発巣の進行が認められた患者はいなかった。
23.5カ月間の観察期間(中央値)で13例(32.5%)が再発し、3例が死亡した。DFSおよびOSの中央値は未到達であった。PRが得られた患者は、PRを達成しなかった患者と比べ、DFSが延長する傾向が見られたが、統計学的有意差は得られなかった(p=0.085、ログランク検定)。
投与開始から6週目の評価で1例が原発巣の進行が疑われ腎摘除術を受けた(最終的に生検に関連する血腫であったことが判明)。1例が術前補助療法中に肝転移が発現(手術時に発見)、また1例がグレード[G]2の甲状腺機能低下により3週間手術を遅らせた。
術式はロボット支援腹腔鏡下手術が50%、開腹手術が50%、平均手術時間は160分、平均出血量は480 mLであった。

重篤な有害事象(SAE)は13例(32.5%)に発現し、入院期間の延長や再入院を必要としたが全例回復した。手術関連では急性腎障害(G4)、術後出血(G3)、嘔吐(G3)など、アベルマブ関連では輸注反応(IRR)(G3)を認めた。

アキシチニブの投与量を10 mgに増量したのは4例(10%)、7 mgに増量したのは7例(17.5%)、5 mgを継続したのが23例(57.5%)であった。一方3 mgに減量したのは6例(15%)、投与を一時中断したのは12例(30%)であった。アベルマブでは3例(7.5%)が治療を中止した。中止理由はG3のIRR、COVID-19、G3の肝機能上昇であった。

治療関連の主な有害事象は、高血圧(G1 17.5%, G2 37.5%, G3 2.5%)、IRR(G1 27.5%, G2 27.5%, G3 2.5%)、疲労(G1 32.5%, G2 15.0%, G3 2.5%)、甲状腺機能亢進症(G1 15.0%, G2 2.5%)、粘膜炎(G1 7.5%, G2 7.5%)、下痢(G1 10.0%, G2 2.5%)、甲状腺機能低下症(G2 10.0%)、悪心(G1 7.5%, G2 2.5%, G3 2.5%)、手足症候群(G1 5.0%, G2 2.5%, G3 2.5%)などで、新たな安全性シグナルは認められなかった。G4/5の治療関連有害事象は認めなかった。

本試験では探索的評価項目として、術前補助療法前の生検と腎切除組織とを比較するバイオマーカー解析を行った。その結果、再発患者の術前補助療法後の腫瘍組織には、非再発患者の組織と比べ、CD8+の密度が全体および上皮内、間質において有意に低く、また上皮内CD8+CD39+の密度も有意に低かった(いずれもp<0.05)。CD8+GZMB+の密度にも同様の傾向が見られた(p=0.1)。しかし術前補助療法前の生検組織にはこのような明確な違いはなかった。また空間的トランスクリプトミクスの結果、術前補助療法後の組織において免疫シグネチャーにおける限局的な腫瘍内差異も明らかとなった。
 
監修 小原 航先生のコメント
腎細胞がんの術前補助療法としてIO+TKI(アベルマブ+アキシチニブ)を前向きに検討した報告である。12週の投与により30%の症例でPRを認め、原発巣の増大を認めた症例はいなかったことから、本併用療法による局所制御は良好と考えられる。重篤な有害事象を32.5%に認めたが、有害事象のため手術を延期した症例は1例のみであり治療計画も立てやすいと思われる。今後の長期成績ならびにバイオマーカーの更なる解析に期待したい。
(森永知美 / Tomomi Morinaga)