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Genitourinary Cancer Today 2021 No.3
ASCO 2021:前立腺がん
#5068 転移性去勢感受性前立腺がん患者における、アンドロゲン除去療法へのアパルタミド上乗せとプラセボを比較検討したTITAN試験の最終解析より、健康関連QOLと患者報告アウトカム
Health-related quality of life and patient-reported outcomes at final analysis of the TITAN study of apalutamide vs placebo in patients with metastatic castration-sensitive prostate cancer receiving androgen deprivation therapy
Neeraj Agarwal 氏 (University of Utah, USA)
更新日:2021年8月2日
転移性去勢感受性前立腺がん(mCSPC)患者において、アンドロゲン除去療法(ADT)へのアパルタミド上乗せを検討した、国際二重盲検無作為化プラセボ対照第Ⅲ相試験TITANの最終解析から、アパルタミド上乗せによる患者報告の有害事象に注目すべき増加はなく、健康関連(HR)QoLは安定しており、プラセボ群と差がなかったことが示された。
本試験はmCSPC患者1,052例を対象に、ADTにアパルタミド(240mg 1日1回経口投与)を追加する群(APA群:525例)とプラセボを追加する群(プラセボ群:527例)に無作為割り付けした。観察期間中央値22.7カ月の主要解析で、APA群はHRQoLを維持したまま、主要評価項目の全生存期間(OS)と画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)の両方で有意な延長を示した1,2)。
この時点で盲検解除され、観察期間中央値44.0カ月の最終解析時にはプラセボ群の約40%がAPA群にクロスオーバーしていたにも関わらず、APA群はプラセボ群と比べ死亡リスクを35%低下させたことがすでに報告されている3)。今回報告されたHRQoLは、予め計画された探索的評価項目だった。
治療期間の中央値は、APA群が39.3カ月、プラセボ群は20.2カ月であった。患者報告アウトカムは、BPI-SF(Brief Pain Inventory-Short Form)、BFI(Brief Fatigue Inventory)およびFACT-P(Functional Assessment of Cancer Therapy-Prostate)を用いて評価した。
ベースラインの患者背景は2群間で同等であった。高腫瘍量の患者はAPA群62%、プラセボ群64%、前治療歴は2群とも全例がホルモン療法を受けており、APA群の11%とプラセボ群の10%がドセタキセル既治療であった。
疼痛を評価するBPI-SFスコア(0~10の範囲、高スコアほど不良)のベースラインの中央値はAPA群が1.1、プラセボ群が1.0で、それぞれ75%と77%が「疼痛なし」または「軽度」だった。疲労を測定するBFIスコアにおいても、APA群の74%とプラセボ群の76%が「疲労なし」または「軽度」だった。FACT-Pスコアの中央値はAPA群113.0、プラセボ群113.3(0~156の範囲、高スコアほど良好)で、良好だった。
治療期間中、2群ともFACT-Pスコアは総スコアおよび各項目(身体的健康、感情的健康、機能的健康、社会・家族関係での健康、前立腺がんサブスケールスコアなど)において、ベースラインの良好な状態を維持し臨床的に意義のある悪化は示さなかった。
BPI-SFスコアにおいても、2群とも安定して良好な状態で推移した。FACT-Pで、治療の有害事象によりどの程度の支障をきたしたかを評価する質問では、APA群の86%以上とプラセボ群の85%以上が、各サイクルで「全く支障がない」または「少々支障があった」と回答していた。活力の程度に関する質問では、各サイクルでAPA群の78%以上とプラセボ群71%以上が安定、または改善を示した。
またBPI-SFとFACT-Pスコアにおける悪化までの期間中央値は、全ての項目において2群間に有意差はなかった。
1) Chi KN, et al. N Engl J Med. 2019; 381(1): 13-24.
2) Agarwal N, et al. Lancet Oncol. 2019; 20(11): 1518-30.
3) Chi KN, et al. J Clin Oncol. 2021; 39(suppl6)
アンカー 1
監修 鈴木 和浩先生のコメント
mCSPCに対するARTAのupfront治療の一つとしてのアパルタミドの臨床的効果は、今年のASCO GUにおいてOSの最終解析で良好な結果が報告された(Chi KN, et al: J Clin Oncol 2021;39 (supple 6))。Upfront治療では治療期間が長期にわたるためQOLに対する影響はさらに重要となる。FACT-P、 BPI-SF、BFIを用いた評価では、アパルタミド群とプラセボ群で有意な差はなく、ベースラインからの低下も2群で同じような傾向であった。OSを含めた抗腫瘍効果と合わせてQOLの点からも本剤の有用性が示された結果と考える。
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