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Genitourinary Cancer Today 2026 No. 1
ASCO-GU 2026:膀胱がん

#751 進行性尿路上皮がんにおける一次治療戦略の問題提起的解析:主要第Ⅲ相試験の個別患者データ再構築に基づく、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ、アベルマブ維持療法、ニボルマブ+シスプラチン/ゲムシタビンの比較
A provocative analysis of first-line strategies in advanced urothelial carcinoma: Reconstructed individual patient data comparisons of enfortumab vedotin-pembrolizumab, avelumab maintenance, and nivolumab-cisplatin-gemcitabine from their pivotal phase 3 trials.

Andrea Malgeri先生(Fondazione Policlinico Universitario Campus Bio-Medico)
更新日:2026年5月8日
進行性尿路上皮がんの一次治療において、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブの併用療法(EV+P)は、ニボルマブ+シスプラチン/ゲムシタビン(Nivo+CG)やプラチナ製剤を含む化学療法後のアベルマブ維持療法と比べ良好な有効性プロファイルを示す可能性が、主要第Ⅲ相試験のカプランマイヤー曲線から再構築した個別患者データ(IPD)の解析より明らかになった。

進行性尿路上皮がんの一次治療には、EV+P、Nivo+CG、アベルマブ維持療法など複数の選択肢があるが、これらを直接比較した無作為化試験はなく、その相対的な臨床的有用性や最適な治療シークエンスは明らかになっていない。本解析では、EV-302/KEYNOTE-A39試験1)、CheckMate 901試験2)、およびJAVELIN Bladder 100試験3)で報告されたカプランマイヤー曲線から、Guyot法を用いてIPDを再構築し、試験間比較を行った。
治療効果はCox比例ハザードモデルにより評価し、絶対的な生存ベネフィットについては制限平均生存期間(RMST)に基づく差分(ΔRMST)を用いた。試験間の比較では対象集団の差異を補正するため、シスプラチン適格集団に限定した解析を行った。さらに、アベルマブ維持療法については導入療法後の無作為化デザインを考慮し、5カ月ランドマーク解析を適用した。なお、比例ハザード性が成立しない場合にはRoyston-Parmarモデルによる時間依存ハザード比(HRt)も評価した。

ΔRMSTの時間的推移の解析では、EV+Pのベネフィットは時間の経過とともに拡大した。Nivo+CGとのOS比較では、ΔRMSTは0~6カ月で0.14カ月(p=0.042)、0~12カ月で0.68カ月(p=0.002)、0~24カ月で2.35カ月(p<0.001)へと増加した。EV+Pとアベルマブ維持療法のPFS比較でも同様に、ΔRMSTは0~6カ月で0.63カ月、0~12カ月で2.07カ月、0~24カ月で4.8カ月(いずれもp<0.001)へと増加した。
これらの傾向は、IPD再構築に基づくカプランマイヤー曲線でも裏付けられた。EV+PとNivo+CGの比較では、全体のハザード比(HR)は0.62(95% CI: 0.48 – 0.80、p<0.0001)で、両群の曲線は早期から分離し、EV+P群が一貫して良好な生存を示した。アベルマブ維持療法とのPFS比較ではより早い段階から明瞭な差が認められ、全体のHRは0.53(95% CI: 0.44 – 0.65、p<0.0001)であった。

一方、アベルマブ維持療法とNivo+CGのOS比較では、初期にはある程度の乖離がみられたものの、その差は時間の経過とともに縮小し、HRtはほぼ1に収束した。全体のHRは0.83(95% CI: 0.64 – 1.06、p=0.14)で有意差はなく、長期OSは概ね同等である可能性が示唆された。

今回の解析は探索的検討であるとしつつも、HRだけでなくHRtやΔRMSTを組み合わせることで、治療効果を動的かつ累積的に評価した。その上で、進行性尿路上皮がんの一次治療戦略のなかで、EV+Pの併用療法は他の選択肢に比べ、良好な有効性プロファイルを有する可能性が示された。一方で、アベルマブ維持療法とNivo+CGの長期転帰は概ね同等である可能性が示唆された。

1) Powles TB, et al. Ann Oncol. 2025; 36(10): 1212-1219. 
2) van der Heijden MS, et al. N Engl J Med. 2023; 389(19): 1778-1789. 
3) Powles T, et al. J Clin Oncol. 2023; 41(19): 3486-3492.
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監修 三宅 秀明 先生のコメント
近年、進行尿路上皮がんに対する一次治療として多くのレジメンの有効性が示され、臨床現場においてはその選択が大きな課題となっている。head-to-headの比較はないものの、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ併用療法の傑出した有効性は多くの臨床医が実感しており、本研究においてそのことが改めて示されたことの意義は大きい。今後、同併用療法の利益を最大化するために、より適切な安全性対策、同併用療法後の至適逐次治療などに関する幅広い知見の集積が求められる。
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