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Genitourinary Cancer Today 2026 No. 1
ASCO-GU 2026:腎細胞がん

#LBA418 淡明細胞型腎細胞がんに対する術後補助療法として、ペムブロリズマブ+ベルズチファン併用療法とペムブロリズマブ単独療法との比較検討:無作為化第Ⅲ相LITESPARK-022試験
Adjuvant pembrolizumab plus belzutifan versus pembrolizumab for clear cell renal cell carcinoma: The randomized phase 3 LITESPARK-022 study

Toni K. Choueiri先生(Harvard Medical School)
更新日:2026年5月8日
術後の再発リスクが高い淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)患者の術後補助療法として、ペムブロリズマブとベルズチファンの併用療法はペムブロリズマブ単独療法と比べ無病生存期間(DFS)を有意に延長させたことが、無作為化二重盲検第Ⅲ相LITESPARK-022試験の第1回中間解析の結果から明らかになった。

腎摘除後の再発リスクが高いccRCC患者に対する術後補助療法は、ペムブロリズマブが標準治療であるが1)、補助療法を受けた患者の約4割が術後5年以内に再発または死亡するとされる2)。こうした背景から、本試験では、免疫療法とは異なる作用機序をもつ低酸素誘導因子2アルファ(HIF-2α)阻害薬ベルズチファンを併用することで、さらなる転帰改善が得られるかを検討した。

本試験の対象は、全身治療歴がなく、腎摘除後12週間以内のccRCCで、M0の再発リスクが中~高リスク(pT2でグレード4または肉腫様変化を伴うN0、あるいはpT3で全グレードのN0)、M0の高リスク(pT4で全グレードのN0、または全pT、全グレードのN+)、またはM1の病変なし(NED)の患者が含まれた。登録患者は、ペムブロリズマブ+ベルズチファン併用群(ペムブロリズマブ400 mgを6週ごとに最大9サイクル+ベルズチファン120 mgを1日1回最大54週経口投与)と、ペムブロリズマブ単独群(ペムブロリズマブ+プラセボ)に1:1に無作為に割り付けられた。層別因子は再発リスク(中~高リスク vs 高リスク vs M1 NED)、および腫瘍グレード(グレード1~2 vs 3~4)であった。
主要評価項目は治験担当医評価によるDFS、主な副次評価項目には全生存期間(OS)、その他の副次評価項目には安全性が含まれた。データカットオフ日は2025年8月23日、追跡期間中央値は28.4カ月であった。

2022年3月から2024年5月までに1,841例が登録され、921例がペムブロリズマブ+ベルズチファン併用群、920例がペムブロリズマブ単独群に割り付けられた。ベースラインの患者背景は概ね2群間で均衡していた。年齢中央値はペムブロリズマブ+ベルズチファン併用群59.0歳、ペムブロリズマブ単独群60.0歳、男性の割合は各々73.1%、69.8%、ECOG PS 0が85.6%、84.5%であった。再発リスクは中~高リスクが84.6%、85.0%と大半を占め、M1 NEDは両群ともに9.1%であった。腫瘍グレードは3~4が65.0%、64.3%、PD-L1発現状態はCPS≧1が59.4%、54.6%であった。治療完了率は69.5%、71.1%であった。

DFS中央値は両群とも未到達(NR)、ハザード比(HR)は0.72(95% CI: 0.59 – 0.87、p=0.0003、層別ログランク検定)で、ペムブロリズマブ+ベルズチファン併用群に有意な延長が認められた。DFS率は12カ月でペムブロリズマブ+ベルズチファン併用群91.9%、ペムブロリズマブ単独群85.2%、24カ月で80.7%、73.7%、30カ月で75.8%、68.6%であった。サブグループ解析でも多くの集団で1未満のHRを示し、DFS改善傾向は概ね一貫していた。中~高リスク集団のHRは0.64(95% CI: 0.51 – 0.80)、PD-L1 CPS≧1集団では0.70(95% CI: 0.55 – 0.89)、腫瘍グレード1~2の集団では0.67(95% CI: 0.45 – 0.99)、3~4の集団で0.73(95% CI: 0.58 – 0.90)であった。一方、高リスク集団およびM1 NED集団では症例数が限られ、HRは各々1.10、0.96で信頼区間も広かった。

今回の第1回中間解析時点で、OSはペムブロリズマブ+ベルズチファン併用群38イベント、ペムブロリズマブ単独群49イベントの計87イベントが解析され、これは最終解析で予定されるイベント数の29%に相当した。HRは0.78(95% CI: 0.51 – 1.19、p=0.1220)で有意差はなかった。OS率は12カ月でペムブロリズマブ+ベルズチファン併用群98.3%、ペムブロリズマブ単独群98.6%、24カ月で96.2%、95.7%、30カ月で95.6%、93.8%であった。

投与期間中央値は2群とも12.4カ月であった。治療中に発現した有害事象(TEAE)は全グレードでペムブロリズマブ+ベルズチファン併用群98.9%、ペムブロリズマブ単独群94.5%、グレード3以上(G≧3)は52.1%、30.2%、全薬剤の投与中止に至ったTEAEは11.9%、9.0%、重篤なTEAEは29.5%、19.9%、死亡に至ったTEAEは1.1%、1.2%であった。治療関連有害事象(TRAE)は全グレードでペムブロリズマブ+ベルズチファン併用群96.6%、ペムブロリズマブ単独群80.7%、G≧3は42.2%、17.9%、全薬剤の投与中止に至ったTRAEは10.2%、7.3%、死亡に至ったTRAEは2群とも0.3%であった。

ペムブロリズマブ+ベルズチファン併用群でもっとも多く発現したTEAEは貧血で、ペムブロリズマブ+ベルズチファン併用群84.0%、ペムブロリズマブ単独群11.4%、G≧3は12.1%、0.5%であった。ベルズチファンまたはプラセボの投与中断に至ったのは24.7%、0.7%、減量に至ったのは17.3%、0%、投与中止に至ったのは4.0%、0.1%であった。貧血に対して施行された支持療法は、輸血のみが4.5%、0.7%、赤血球造血刺激因子(ESA)のみが7.1%、0.2%、ESA+輸血が1.1%、0%であった。低酸素症は全グレードでペムブロリズマブ+ベルズチファン併用群7.0%、ペムブロリズマブ単独群0.1%に発現し、G≧3は4.6%、0%、ベルズチファンまたはプラセボの投与中断に至ったのは2.5%、0.1%、減量に至ったのは3.5%、0%、投与中止に至ったのは1.6%、0%であった。酸素補充療法を要したのはペムブロリズマブ+ベルズチファン併用群3.3%、ペムブロリズマブ単独群0%、併用群における酸素補充療法開始までの期間中央値は103.5日であった。

以上の結果は、腎摘除後の再発リスクが高いccRCC患者において、標準的術後補助療法であるペムブロリズマブへのベルズチファン追加を支持するものである。なお、OSについては今後の追跡が必要である。

1) NCCN Kidney cancer (Version 1.2026) (https://www.nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/kidney.pdf) (2026年4月1日アクセス)
2) Haas N, et al. J Clin Oncol. 2025; 43(16_suppl): 4514-4514.
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監修 三宅 秀明 先生のコメント
再発リスクの高い淡明細胞型腎細胞がんに対する従来の標準的術後補助療法であったペムブロリズマブをしのぐ効果が、ペムブロリズマブ+ベルズチファン併用に認められたことの意義は大きく、本邦でも承認後同併用療法が新たな標準治療となることは想像に難くない。しかし、併用することによる有害事象の増加および重篤化への対策、術後補助療法施行例が再発した場合の至適薬物療法の確立、非淡明細胞がん症例に対する術後再発予防戦略の構築等々、本領域にはいまだ多くの課題が存在することも認識すべきである。
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