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Genitourinary Cancer Today 2026 No. 1
ASCO-GU 2026:前立腺がん

#18 PSMA陽性mHSPC患者を対象にADT+ARPIと[177Lu]Lu-PSMA-617との併用を検討した第Ⅲ相PSMAddition試験における健康関連QoL、疼痛、症候性骨関連事象
Health-related quality of life, pain and symptomatic skeletal events in the phase 3 PSMAddition study of [177Lu] Lu-PSMA-617 combined with ADT and ARPI in patients with PSMA-positive mHSPC

Michael J Morris先生 (Memorial Sloan Kettering Cancer Center) 
更新日:2026年5月8日
PSMA陽性の転移性ホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)患者に対する、アンドロゲン除去療法(ADT)+アンドロゲン受容体経路阻害薬(ARPI)に177Lu-PSMA-617を追加した併用療法と、ADT+ARPIを比較検討した第Ⅲ相PSMAddition試験の結果、患者報告アウトカム(PRO)による健康関連QoL(HRQoL)、疼痛、症候性骨関連事象(SSE)は、両群で概ね同等であることが示された。

本試験は、従来の画像検査でmHSPCと診断され、68Ga-PSMA-11 PET/CTでPSMA陽性の転移病変を1つ以上有する患者を対象に、177Lu-PSMA-617(7.4GBq、6週毎最大6サイクル、最長36週間)+ADT+ARPI併用群またはADT+ARPI群に1:1の割合で無作為に割り付け、比較検討したものである。主要評価項目は画像上の無増悪生存期間(rPFS)、主な副次評価項目は全生存期間(OS)であった。既報の第2回中間解析にて、rPFS中央値は両群とも未到達であったものの、177Lu-PSMA-617併用群ではrPFSの有意な延長(ハザード比 [HR] 0.72、95% CI: 0.58 – 0.90、p=0.002)が示されている1)。今回は、副次評価項目であるPROによるHRQoL、疼痛および初回SSEまでの時間に関する解析結果が報告された。
HRQoL評価にはFACT-PおよびEQ-5D-5L、疼痛指標としてはBPI-SFが用いられた。ベースライン時の質問票回収率はいずれも84~90%と良好であった。

データカットオフ日は2025年1月13日、追跡期間中央値は23.6カ月(範囲:17.7 – 42.8)であった。HRQoLや疼痛の悪化*までの期間中央値は、FACT-P総スコアが177Lu-PSMA-617併用群11.33カ月、ADT+ARPI群17.12カ月(HR 1.14、95% CI: 0.98 – 1.33)、EQ-5D-5Lユーティリティスコアは各々11.10カ月、15.67カ月(HR 1.13、95% CI: 0.97 – 1.31)、BPI-SF疼痛強度は各々11.53カ月、13.83カ月 (HR 1.02、95% CI: 0.87 – 1.18)と、いずれも2群間に有意差はなかった。

ベースラインからの経時的変化を比較すると、FACT-P総スコアは177Lu-PSMA-617併用群で投与期間中に一次的な低下が認められたものの、治療終了後に群間差は縮小していた。EQ-5D-5LユーティリティスコアとBPI-SFの各指標は両群で概ね同様の推移を示した。
初回SSEまでの時間においても群間差は認められなかった。死亡を含む初回SSEまでの時間のHRは0.89(95% CI: 0.62 – 1.26)、死亡を除く初回SSEまでの時間のHRは0.87(95% CI: 0.58 – 1.31)であり、いずれも中央値は両群ともに未到達であった。骨修飾薬の使用率は、デノスマブが177Lu-PSMA-617併用群で11.5%、ADT+ARPI群で15.8%、ビスホスホネートが各々8.2%、8.8%であった。

以上より、177Lu-PSMA-617投与中はFACT-Pに一時的な群間差が認められたものの、投与終了後には両群間で差は見られなかった。また、EQ-5D-5L 、BPI-SFおよび初回SSEまでの時間も両群で同様の推移を示したことから、両群は概ね同等であるとまとめられた。ただし、長期的な影響を評価するには、さらに長期の追跡データが必要であるとされた。

*各評価項目の悪化の定義
・FACT-P:総スコアのベースラインから10点以上の低下、各下位尺度の3点以上の低下、または病勢進行/死亡のいずれか
・EQ-5D-5L:ユーティリティスコアのベースラインから0.08点の低下、または病勢進行/死亡
・BPI-SF:疼痛強度、疼痛障害、最悪の疼痛強度のいずれかがベースラインから30%以上または2点以上増加、または病勢進行/死亡
・SSE:新たな症候性病的骨折、脊髄圧迫、腫瘍関連整形外科手術や骨痛に対する放射線治療の介入、または死亡


1) Tagawa ST, et al. Ann Oncol. 2025; 36: S1–S60 (ESMO 2025) .
アンカー 1
監修 上村 博司 先生のコメント
177Lu-PSMA-617治療は、本邦では昨年11月より保険適用となり、PSMA‐PET/CT陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)が対象である。PSMAddition試験は、転移性去勢感受性前立腺がん(mCSPC)を対象にADT+ARSI+177Lu-PSMA-617のトリプレット治療とADT+ARSIのダブレット治療とを比較した試験であり、主要評価項目のrPFSはmetしている。QOLスコアや痛みなどの増悪までの期間は、両群間に有意差は認められていない。このことは、将来的にmCSPCに対してupfront治療の実施可能性を示しているが、全生存期間(OS)の結果が待たれるところである。もし177Lu-PSMA-617のOSベネフィットがみられた場合、mCRPCよりもいち早くmCSPCで投与したほうがよいか、議論になるであろう。
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