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Genitourinary Cancer Today 2022 No.4
ASCO Annual Meeting 2022:前立腺がん

#5006 転移性去勢感受性前立腺がん患者における全生存期間の潜在的な代替評価項目として、中間の臨床評価項目(ICE)を評価

Assessing Intermediate Clinical Endpoints (ICE) as Potential Surrogates for Overall Survival (OS) in men with Metastatic Hormone Sensitive Prostate Cancer (mHSPC)
Susan Halabi氏(Duke University Medical Center)
更新日:2022年9月2日

転移性去勢感受性前立腺がん(mHSPC)患者を対象とした臨床試験において、画像診断による無増悪生存期間(rPFS)と臨床上の無増悪生存期間(cPFS)が、全生存期間(OS)の代替評価項目として有効である可能性が明らかとなった。

OSはがんの臨床試験においてゴールドスタンダードの評価項目とみなされているが、OSを主要評価項目とするmHSPCの臨床試験は 長期の追跡期間を要するため、OSの代替的役割を果たす中間の臨床評価項目(Intermediate Clinical Endpoint, ICE)の必要性が議論されている。本研究ではrPFSと cPFSの2つのICEに焦点をあて、OSの代替評価項目として有効であるかどうかを、2段階のメタ解析検証モデルを用いて検証した。1992年1月以降に登録が始まった9件の第Ⅱ/Ⅲ相ランダム化臨床試験(計8,612例)臨床試験が解析対象となった。

rPFSは「CT画像上の増悪」、「骨増悪」、「死亡」のいずれかが最初に発生した時点までの期間とし、cPFSはこれらのイベントに「治療変更」と「症状」を加え、いずれかが最初に発生した時点までの期間と定義した。

この検証モデルでは2の条件を満たす必要がある。1つ目の条件は、各ICEと真の評価項目が相関することで、ここでは5年OS率と3年rPFS率 および3年cPFS率との相関関係を重み付き線形回帰で検討した。OS中央値は4.1年、rPFS中央値は2.3年、cPFS中央値は2.1年だった。OS中央値が4年未満だった3試験を除いた試験レベルのデータによる解析で、5年OS率と3年rPFS率との間、および5年OS率と3年cPFS率との間で相関関係が認められた(いずれもR  =0.78)。また患者レベルのデータによる検証でも、これら2つのICEとOSとの間に相関関係が示された(ケンドールの順位相関係数: rPFS 0.83、cPFS 0.84)。

2つ目の条件は、各ICEと真の評価項目における治療効果(Cox比例ハザードモデルによるハザード比)が相関することである。各臨床試験で得た各々の評価項目におけるハザード比を適合させ、その相関関係を重み付き線形回帰で検証した結果、OSとrPFSにおける治療効果と、OSとcPFSにおける治療効果は、それぞれに相関関係が認められた(いずれもR  =0.81)。

以上からHalabi氏は、rPFSとcPFSはOSの有効的な代替評価項目であることが示されたが、現段階では、これらの評価項目を用いた第Ⅲ相試験の準備は整っておらず、更なる検証が必要であるとし、次の段階ではAR標的療法を検討した最新のデータを加えた検証を計画中であると述べた。

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監修 橋本 浩平先生のコメント

mHSPCの治療においてOSの延長は最重要エンドポイントであるが、今回の結果からrPFS、rPFSに治療変更と症状を評価ポイントに加えたcPFSの両方が、OSのサロゲートとして評価項目になる得ることが明らかとなった。本研究に採用された臨床試験は、主にADT+Upfrontドセタキセル、ゾレドロン酸の有用性を検討した試験であり、Upfront新規AR標的薬の有用性を検討した臨床試験を含めた場合、PSAレスポンスなどが新たなOSのサロゲートとして成り立つのか、今後の解析が待たれる。

(中本裕子 Yuko Nakamoto)
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