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Genitourinary Cancer Today 2021 No.4
2021 JSCO・JSUO:膀胱がん

#O53-2 組織学的亜型を有する尿路上皮癌に対するペムブロリズマブの効果の検討

小林 瑞貴氏(秋田大学大学院医学系研究科 腎泌尿器科学講座)
更新日:2021年12月22日
 尿路上皮がん(UC)において、組織学的亜型の有無にかかわらずペムブロリズマブの効果は同等であり、肉腫型を有する患者においてはむしろ効果が高く、積極的な投与も検討し得ることが示された。

 UCの約25%に組織学的亜型(VUC; variant UC)が認められ、もっとも多いものは扁平上皮型である。一般に扁平上皮化成を伴うUCはpure UC(PUC)と比較してより悪性度が高く、さらに肉腫型や形質細胞型は予後が不良であるとされている。
 近年、本邦でも免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブがUCに対し広く用いられるようになったが、ペムブロリズマブのVUCに対する効果は明らかになっていない。そこで今回、VUCとPUCに対するペムブロリズマブの有効性について、後ろ向きに比較検討がなされた。

 対象は、日本泌尿器腫瘍グループ(JUOG)の参加機関である59施設から、2017~2019年に
一次化学療法後に増悪し、ペムブロリズマブを投与された進行性UC患者755例であった。傾向スコアマッチング法(PSM)が用いられ、VUCとPUCの全奏効率(ORR)および全生存率(OS)が比較検討された。PSMは、JUOGより報告された1)化学療法抵抗性UCに対するペムブロリズマブの予後予測因子とされる4項目、すなわち「ECOG-performance status」「転移臓器」「ヘモグロビン値」「neutrophil-lymphocyte ratio(NLR)」を一致させて施行された。

 VUCは147例(19.5%)に認められ、その内訳は扁平上皮型(9.7%)、腺上皮型(2.8%)、肉腫型(2.5%)、微小乳頭型(2.4%)、神経内分泌型(1.1%)、胞巣型(0.8%)の順に多かった。原発巣は上部尿路、下部尿路が約半数ずつであった。ペムブロリズマブが二次治療として投与された患者は571例(75.6%)であり、184例(24.4%)は三次治療以降の投与であった。

 VUCとPUCの比較では、ORRおよび病勢制御率(DCR)に有意な差は認められなかった。もっとも頻度が高かった扁平上皮型においても同様の結果であったが、肉腫型ではPUCと比較し、いずれも有意に良好であった([ORR]36.8% vs. 10.5%、p=0.031、[DCR]52.6% vs. 21.1%、p=0.032、Fisherの直接確率検定)。
 また、PSM後の症例においてVUCとPUCのOSに有意差は認められず、扁平上皮型においてもPUCと比較してOSに有意差は認められなかった。一方、肉腫型ではPUCと比較し、PSM後のOSは有意に良好であった([OSの中央値]Not reach vs. 7.8カ月、p=0.023、log-rank検定)。
 
 小林氏は、「肉腫型UCでは他の組織学的亜型と比較して腫瘍のPD-L1の発現が高く、かつTリンパ球の浸潤が多い傾向にあることが報告されており2)、今回の肉腫型に対するペムブロリズマブの効果はこのことに関連する可能性がある」と考察した。

1)Kobayashi T, et al. Cancer Sci. 2021; 112(2): 760-73.
2)Li H, et al. Sci Rep. 2020; 10(1): 1439.
 
監修 菊地 栄次先生のコメント
転移性尿路上皮がんに対してペムブロリズマブ治療が施行された症例を集積した、本邦最大級のデータベース(755例)を用いた検討である。
Propensity score matching法を用いて患者背景のばらつきを最小限に抑え、pure UC群とvariant UC群の予後を比較している。Variant UCは全体の19.5%に認められ、両群間にはOSに差を認めなかった。一方variant UC群の中でもsarcomatoid variant症例は、pure UC群と比較してOS良好の傾向を認めた。Keynote-045試験を見返してみても、Transitional cell typeとMixed typeともに、ペムブロリズマブ投与でOS良好の傾向を認めている (Bellmunt J, et al. N Engl J Med. 2017; 376(11): 1015-26.)。今後、更なるデータの集積を待ち、sarcomatoid variant症例におけるペムブロリズマブの有効性の検証が望まれる。