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Genitourinary Cancer Today 2022 No.3
ASCO-GU 2022:前立腺がん

#99 転移性ホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)患者に対するGnRHアンタゴニスト単剤療法とGnRHアゴニスト+ビカルタミド(CAB療法)の無作為化比較試験(KYUCOG-1401)

Randomized controlled trial of GnRH antagonist monotherapy versus GnRH agonist plus bicalutamide (CAB) for patients with metastatic hormone-sensitive prostate cancer (mHSPC) (KYUCOG-1401)
横溝 晃氏(医療法人原三信病院 泌尿器科)
更新日:2022年4月20日
転移性ホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)患者を対象に、GnRHアゴニストとビカルタミドによるCAB療法と、GnRHアンタゴニスト単剤療法とを比較検討するKYUCOG-1401試験の結果、CAB療法はPSA無増悪生存期間(PSA-PFS)を有意に延長させたことが明らかとなった。試験ではGnRHアンタゴニスト単剤療法群に、PSA増悪後ビカルタミドを追加する遅延CAB療法を施行しており、これによりCAB治療成功期間(CAB-TTF)と、画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)、および全生存期間(OS)は2群間で差は認められなかった。

GnRHアンタゴニスト製剤の単剤療法が、GnRHアゴニスト製剤+抗アンドロゲン治療薬によるCAB療法と比較し、どの程度の効果を有するかは明らかになっていない。本試験では、病理組織学的にmHSPCが確認された患者を対象に、GnRHアンタゴニスト単剤療法を行う群(グループA)と、GnRHアゴニストとビカルタミドによるCAB療法を行う群(グループB)に無作為化し、グループAではPSA増悪が認められた後、GnRHアンタゴニストにビカルタミドを追加する遅延CAB療法を行った。主要評価項目はPSA-PFS、副次評価項目はCAB-TTF(グループAでは遅延CAB療法を行った時のTTF)、rPFS、OS、PSA値の推移、ホルモン動態、骨代謝マーカーの推移、脂質代謝への影響、有害事象であった。

2014年6月~2017年6月にグループAに100例、グループBに98例が無作為化された。患者背景はグループ間で差は認められず、患者全体でTNM分類はM0 19.7%、M1 80.3%、Jewett Staging SystemはD1 19.7%、D2 80.3%、EOD分類は0が28.3%、1が26.3%、2が20.7%、3が19.2%、4が5.6%、初診時PSA値が100 ng/mL未満だったのは35.4%、100ng/mL以上が64.6%、グリソンスコア7以下8.6%、8以上91.4%だった。

PSA-PFSの中央値は、グループAが13.8カ月、グループBが18.6カ月、ハザード比(HR)は 1.40(95%信頼区間[CI]: 1.01 – 1.95、p=0.041)で、グループBが有意に長かった。一方、CAB-TTF、rPFS、およびOSでは2群間に有意差はなかった。CAB-TTF中央値はグループA 18.4カ月、グループB 15.2カ月(HR 0.80、95% CI: 0.59 – 1.08、p=0.146)、rPFS中央値はそれぞれ44.9カ月、58.1カ月(HR 1.12、95% CI: 0.72 – 1.74、p=0.626)、OS中央値はそれぞれ65.1カ月、未到達(HR 1.17、95% CI: 0.69 – 1.96、p=0.559)だった。

またグループAでは、テストステロン値が去勢レベルに達しない、または去勢レベルを維持できない患者の割合が観察期間を通して高い傾向があった。12週目はグループAが0%、グループBが1.2%(p=0.294)、36週目はそれぞれ2.5%、0%(p=0.213)、60週目は12.1%、2.0%(p=0.046)、84週目は8.9%、0%(p=0.079)、108週目は9.1%、0%(p=0.122)だった。
 
監修 横溝 晃先生のコメント
九州山口地区の大学病院を中心とした共同研究組織であるKYUCOGによる前向き無作為化比較試験の結果発表である。ADTとして、GnRHアンタゴニストであるゴセレリンとGnRHアゴニストであるリュープロレリンがあるが、ゴセレリンは、より早期にテストステロン低下作用があること、flare upがないことより高い有効性がある可能性が指摘されてきた(Klotz L, et al. BJU Int. 2008; 102(11): 1531-8)。そのため、本研究ではゴセレリン単剤療法が、広く日本で普及していたGnRHアゴニスト+ビカルタミドによるCAB療法に比べ、より有用であるという仮説を検証するための試験デザインとなった。しかし、結果は期待とは逆で、CAB療法が有意にPSA-PFSを延長する結果となった。治療中のテストステロン濃度を比較すると、原因は不明であるが、アンタゴニスト群で一部テストステロンの低下が悪い症例があり、これが両群間の差を生じた原因の一つではないかと発表者らは推察している。アンタゴニスト群ではPSA上昇のイベントの後、ビカルタミドを追加するプロトコールとなっており、両群間でCAB後のPSA-PFSをイベントとした場合は有意差がなく、また、PFS、OSにおいても有意差は認められなかった。