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Genitourinary Cancer Today 2021 No.3
ASCO 2021:腎細胞がん

#4551 フロントライン治療としてアキシチニブ+ペムブロリズマブ併用またはイピリムマブ+ニボルマブ併用療法を受けた転移性淡明細胞型腎細胞がん患者のリアルワールドアウトカム

Real-world outcomes in patients with metastatic clear cell renal cell carcinoma receiving front-line axitinib plus pembrolizumab versus ipilimumab plus nivolumab
Kevin Zarrabi氏 (Fox Chase Cancer Center, USA) 
更新日:2021年8月2日
大規模電子医療記録データを用いて、転移性腎細胞がん(mRCC)のフロントライン治療でアキシチニブ+ペムブロリズマブ併用療法を受けた患者(AXI+PEMBRO群)とイピリムマブ+ニボルマブ併用療法を受けた患者(IPI+NIVO群)の臨床転帰を比較検討した結果、12カ月生存率はIMDCリスク分類にかかわらず有意差がないことがわかった。

mRCC患者に対するフロントライン治療は近年急激に進歩し、複数の新たな治療法が承認されているが、至適治療を選択するための前向き臨床データに関する情報は十分ではない。本研究では、Flatiron Health社の全米規模の電子健康記録データベースを用い、2018~2020年にフロントライン治療として、AXI+PEMBROまたはIPI+NIVO併用療法を受けたmRCC患者のリアルワールドでの転帰を、IMDCリスク分類ごとに比較検討した。

主要評価項目は全生存期間(OS)とリアルワールド無増悪生存期間(rwPFS)であった。OS、rwPFSは治療開始時から評価され、治療群の比較は重み付けあり/なしのKaplan-Meier曲線およびログランク検定と重み付きCox比例ハザード回帰を用いた。

抽出された821例のうちAXI+PEMBROを受けていたのは259例、IPI+NIVOは562例だった。患者背景は2群間で差はなく、年齢中央値はAXI+PEMBRO群 68歳、IPI+NIVO群 66歳、半数以上が白人であった(AXI+PEMBRO群 67.2%、IPI+NIVO 群63.9%)。IMDCリスク分類は中/高リスクが7割以上を占めた(AXI+PEMBRO群 76.8%、IPI+NIVO群 77.1%)。また半数以上に腎摘除術歴があり(AXI+PEMBRO群 56.8%、IPI+NIVO群 54.1%)、組織型は淡明細胞型がAXI+PEMBRO群83.4%、IPI+NIVO群74.7%と多かった。ほとんどが地域病院で治療を受けており(AXI+PEMBRO群93.1%、IPI+NIVO群89.9%)、診断から治療までの期間はAXI+PEMBRO群0.21カ月、IPI+NIVO群0.18カ月だった。

治療タイプの予測因子を同定するため、IPI+NIVO併用を受けるオッズ比を検討した結果、性別、年齢、腎摘除術歴、保険の種類、IMDCリスク分類、およびBMIは、IPI+NIVO併用を受ける可能性と有意な関連性がなかった。唯一、地域病院での治療が有意に関連しており、地域病院で治療を受けた患者におけるIPI+NIVO併用のオッズ比は0.53(p=0.044)だった。

調整OSの中央値はAXI+PEMBRO群が未到達、IPI+NIVO群が22カ月で有意な群間差はなかった(p=0.40)。12カ月生存率は、コホート全体でAXI+PEMBRO群が68.5%、IPI+NIVO群が65.8%(p=0.41)、IMDCリスク分類が中/高リスクの患者ではAXI+PEMBRO群64.6%、IPI+NIVO群が56.1%(p=0.61)、低リスクではそれぞれ93.2%、72.5%(p=0.31)で、いずれも有意差は示されなかった。

調整PFSの中央値はAXI+PEMBRO群8.4カ月、IPI+NIVO群6.8カ月で有意差はなく、12カ月rwPFS率はAXI+PEMBRO群41.4%、IPI+NIVO群39.7%だった。
 
監修 亭島 淳先生のコメント
mRCCに対するフロントライン治療としてIO+TKIのレジメンとIPI+NIVOのいずれを選択するかは大きな課題である。本研究ではAXI+PEMBROとIPI+NIVOをリアルワールドデータで比較している。その結果、リスク分類にかかわらずPFS、OSにおいて両群に差がみられなかった。一方で、IPI+NIVO群ではAXI+PEMBRO群に比較して淡明細胞型と診断しえなかった症例の割合が多いこと、年齢が若いことが示されている。この結果には両レジメンを選択する上での傾向が反映されており、妥当な症例選択によっていずれのレジメンでも遜色のない治療アウトカムが得られているとの解釈もできなくはないが、やはり、バイオマーカーの探索等を通して、症例ごとに最適なレジメン選択を可能とする基準の確立が必要と思われる。