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Genitourinary Cancer Today 2021 No.3
ASCO 2021:前立腺がん

#5071  骨オリゴ転移を伴うホルモン感受性前立腺がんに対するエンザルタミドとアンドロゲン除去療法併用の有効性:ARCHES試験の事後解析

The efficacy of enzalutamide plus androgen deprivation therapy on bone oligometastatic hormone-sensitive prostate cancer: A post hoc analysis of ARCHES
Andrew J. Armstrong氏 (Duke Cancer Institute for Prostate & Urologic Cancers, USA)
更新日:2021年8月2日
転移性ホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)に対するエンザルタミド(ENZ)+アンドロゲン除去療法(ADT)併用のベネフィットは、骨転移巣が6個以上の患者よりも、5個以下のオリゴ転移の患者の方が高い傾向があることが、ARCHES試験の事後解析から明らかになった。またADT単独療法に比し、ENZ+ADT併用療法は臨床転帰を向上させたことから、ENZの早期導入が、有効である可能性が示唆された。

本試験はmHSPC患者1,150例を対象に、ENZ(160mg/日)+ADT併用療法群(ENZ+ADT群)とプラセボ+ADT療法群(PBO+ADT群)に無作為化し比較検討したもので、主要評価項目の画像診断による無増悪生存期間(rPFS)はENZ+ADT群で有意に延長した(rPFS中央値:未到達 vs 19.0カ月、ハザード比[HR] 0.39、p<0.001)ことがすでに報告されている1)。今回の事後解析では骨転移のみを有する512例について、骨転移巣が1~5個のオリゴ転移と骨転移巣が6個以上の多発転移の患者とで転帰を比較した。

オリゴ転移の患者ではENZ+ADT群が160例、PBO+ADT群が136例、多発転移の患者ではそれぞれ107例、109例だった。

主要評価項目のrPFSは、転移数に関わらずPBO+ADT群に対しENZ+ADT群が優位であった。オリゴ転移患者ではHR 0.22(95% 信頼区間[CI]: 0.10-0.47)、多発転移患者ではHR 0.35(95% CI: 0.22-0.57)だった。

ENZ+ADT群において、オリゴ転移患者は多発転移患者と比べrPFSが延長する傾向にあった。多発転移の患者に対するrPFS のHRは、骨転移巣が1個の集団(53例)で0.09、2個以下の集団(87例)で0.15、3個以下の集団(120例)が0.18、4個以下の集団(142例)が0.14、5個以下の集団(160例)は0.21であった。またこれらオリゴ転移患者5集団のrPFSは同等だった。PBO+ADT群においてもオリゴ転移患者の各集団は総じて多発転移の患者よりrPFSが延長する傾向があった。

副次評価項目のPSA無増悪期間、症候性骨関連事象発現までの期間、新しい抗腫瘍療法までの期間、去勢抵抗性までの期間についても、転移数に関わらずENZ+ADT群が優位であった。

またベースラインでPSAが検出可能だった患者のうち、検出不可能な値(<0.2ng/mL)に達した割合は、オリゴ転移患者と多発転移患者のいずれにおいても、ENZ+ADT群の方が高い傾向があった(オリゴ転移患者:ENZ+ADT群81.1% vs PBO+ADT群30.7%、多発転移患者:同64.3% vs 8.2%)。

治療下での有害事象(TEAE)の発現は、オリゴ転移患者では全グレードとグレード3~4(G3/4)においてENZ+ADT群がわずかに高い傾向にあり(全グレード:ENZ+ADT群93.0% vs PBO+ADT群83.1%、G3/4:同19.6% vs 19.1%)、疲労や認知機能障害、骨折などがPBO+ADT群より多く報告されたが、重篤なTEAEは低い傾向であった(同13.9% vs 19.1%)。一方、多発転移患者では全グレードにおいてPBO+ADT群のTEAE発現率が高い傾向にあり(ENZ+ADT群77.5% vs PBO+ADT群90.8%)、G3/4はENZ+ADT群がわずかに高かった(同27.1% vs 26.6%)。多発転移患者のENZ+ADT群では高血圧と転倒リスクが高く、疲労と骨折リスクは低い傾向にあった。

1)  Armstrong AJ, et al. J Clin Oncol 2019; 37(32): 2974-86.
 
監修 鈴木 和浩先生のコメント
mHSPCに対するARTAのupfront治療の一つとしてのエンザルタミドの臨床試験であるARCHES試験のサブ解析である。骨転移の数とrPFSの関係を解析し、5個までのオリゴ転移、6個以上の多発転移で、プラセボと比較して優位に画像上の進行が抑えられていた。特に、転移数5個までのオリゴ転移ではエンザルタミドで非常に良好であった。この報告ではプラセボ群のrPFSをみると興味深い。1−2個の転移と3個以下から5個以下の転移ではrPFSが異なっており、リスク分類を考慮するときの判断となる。ARCHES試験はOSの結果が待たれる。