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Genitourinary Cancer Today 2021 No.3
ASCO 2021:膀胱がん

#4524 抗PD-1/PD-L1抗体薬の治療歴があるシスプラチン不適応の局所進行または転移性尿路上皮がん患者における、enfortumab vedtinの検討:EV-201試験コホート2の最新解析

Enfortumab vedotin in cisplatin-ineligible patients with locally advanced or metastatic urothelial cancer who received prior PD-1/PD-L1 inhibitors: An updated analysis of EV-201 Cohort 2
Bradley McGregor氏(Dana-Farber Cancer Institute, USA)
更新日:2021年8月2日
抗PD-1抗体薬または抗PD-L1抗体薬による治療歴のある局所進行性または転移性尿路上皮がん患者を対象に、抗体-薬物複合体のenfortumab vedtin*を検討した第Ⅱ相単群試験EV-201試験から、プラチナ製剤を含む化学療法が未治療でシスプラチン不適応のコホート(コホート2)について、観察期間を延長した最新解析データが報告された。奏効率(ORR)は51%、奏効期間(DOR)中央値は13.8カ月で、既報の主要解析の結果と一致することが示された。

本試験の主要評価項目は盲検下独立中央判定委員会(BICR)によるORR、副次評価項目はDOR、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などであった。コホート1はプラチナ製剤を含む化学療法の治療歴を有する患者で、結果は既に報告されており、その結果をもってenfortumab vedtinは米国にて迅速承認された。

コホート2の主要解析の結果、ORR 52%、完全奏効(CR)20%、DOR中央値が10.9カ月であったことが既に明らかとなっている1)。今回の報告は観察期間を3カ月間延長した(データカットオフ日2020年12月4日)、最新の解析結果である。                                                                                                                                                                                                                                       コホート2には2017年10月から2020年2月までに91例が組み入れられ、そのうち89例がenfortumab vedtinの治療を受けた。Enfortumab vedtinは1.25mg/kgを28日サイクルのday1、day8、day15に静注投与とした。治療期間中央値は6カ月、データカットオフ時点で治療を継続中だったのは11例(12%)だった。

ベースラインの患者背景は、年齢中央値が75歳、ECOGパフォーマンスステータス(PS)0または1が88%、腎機能は中等度低下が67%、重度低下が2%、原発巣部位は上部尿路が43%、膀胱/その他が57%、内臓転移ありが79%、肝転移ありは24%だった。一次治療として抗PD-1/PD-L1抗体薬既治療が96%、抗PD-1/PD-L1抗体薬治療へのレスポンダーは25%だった。

BICRの評価によるORRは51%、CRは22%、進行(PD)は10%、DOR中央値は13.8カ月だった。ORRはサブグループ間で一貫しており、原発巣部位(上部尿路58%、膀胱/その他45%)肝転移の有無(肝転移あり 43%、肝転移なし 53%)、前治療の抗PD-1/PD-L1抗体薬治療の最良効果(レスポンダー 64%、非レスポンダー 46%)別でも差はなかった。

PFS中央値は6.7カ月(95% 信頼区間[CI]: 5.03 – 8.28)、OS中央値は16.1カ月(95% CI: 11.33 – 24.08)だった。

治療関連有害事象(TRAE)の発現率は全グレードが97%、グレード3以上(≧G3)は55%、主な事象は脱毛51%(≧G3:0%)、末梢感覚神経障害49%(同3%)、疲労34%(同7%)、食欲減退33%(同6%)、掻痒30%(同3%)、斑点状丘疹30%(同8%)などであった。TRAEによる治療中止例は16%、中止理由は末梢感覚神経障害が4%で最多だった。またTRAEが原因と考えられる死亡例は既報と変わらず4例だった。特に注目すべきTRAEは皮膚反応61%(≧G3:17%)、末梢神経障害56%(同8%)、高血糖10%(同6%)だった。AEは総じて管理可能であり、新たな安全性シグナルは認められなかった。

*本邦未承認

1) Powles T, et al. N Engl J Med. 2021; 384(12): 1125-35.
 
監修 神波 大己先生のコメント
enfortumab vedtinは抗体-薬物複合体という新しいクラスの薬剤であり、進行性尿路上皮がんに対する新たな武器として期待されている。今回の報告は前回から3カ月観察期間を延長しただけのものであるが、初回解析結果をほぼ維持しており、同薬剤が一次治療でシスプラチンを使用できない尿路上皮がん患者に対して大きな恩恵となりうることを示している。ただし、皮膚反応、末梢神経障害などの有害事象が実臨床でも管理可能なものか気がかりである。