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Genitourinary Cancer Today 2021 No.3
ASCO 2021:膀胱がん

#4504 筋層浸潤性尿路上皮膀胱がんに対する膀胱温存療法として、ゲムシタビンおよび寡分割放射線療法の同時併用にペムブロリズマブを追加:多施設共同第Ⅱ相試験

Pembrolizumab in combination with gemcitabine and concurrent hypofractionated radiation therapy as bladder sparing treatment for muscle-invasive urothelial cancer of the bladder: A multicenter phase 2 trial
Arjun V. Balar氏(Laura and Isaac Perlmutter Cancer Center, USA)
更新日:2021年8月2日
三者併用膀胱温存療法(trimodal therapy, TMT)は、根治を目的とした筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)患者の有効な非外科的治療選択肢であり、寡分割放射線療法とゲムシタビンの併用療法にペムブロリズマブ(Pembro)を追加した治療法は安全かつ有効である可能性があることが、多施設共同第Ⅱ相試験で示唆された。

MIBCの根治治療は、シスプラチンを含む術前化学療法後に根治的膀胱摘除術(RC)を施行する方法と、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)後に化学放射線療法を併用する TMTがあるが、これらを直接比較した無作為化試験はない。傾向スコア分析で同等の疾患特異的生存率と全生存期間(OS)が得られることが示唆されているが1)、化学放射線療法の至適レジメンはいまだ特定されていない。

PD-1阻害薬は進行性尿路上皮がんにおいて生存延長効果を有しており2,3)、また化学放射線療法と相乗効果をもたらす可能性が報告されている4-6)

本試験では、局所MIBCにおいて標準的なTMTにPembroを追加した治療法の安全性と有効性を検討した。

主な適格基準は、cT2T4aN0M0のMIBC、組織学的に確認された尿路上皮がん(混合型含む)、ECOGパフォーマンスステータス(PS)が0または1、RC不適格または膀胱温存選択、術前化学療法未治療であった。

対象患者は最初にPembro200mg静注の単回投与を受け、2~3週間後にMaximal TURBTを施行、3~4週間後に4週間の化学放射線療法とPembro投与(200mg 3週毎静注を3サイクル)を同時に行った。化学放射線療法は、放射線療法が52Gyを20回分割照射、強度変調放射線治療(IMRT)推奨、化学療法がゲムシタビン 27mg/m  静注、週2回投与とした。放射線療法終了から12週間後に腫瘍床の生検と尿細胞診、および画像検査により奏効を評価した。

また治療中は検体採取を定期的に行った。治療開始前のベースライン時とMaximal TURBT時、および化学放射線療法とPembro併用療法後に組織と血液を採取し、加えてPembro単回投与時と併用療法の開始および終了時に血液のみ採取した。

放射線療法終了後に5年間の経過観察に入り、画像検査は初めの18カ月は3カ月毎、次の18カ月は6カ月毎、最後の24カ月は12カ月毎に行い、膀胱鏡検査および尿細胞診は初めの12カ月は3カ月毎、次の12カ月は4カ月毎、最後の3年間は6カ月毎に行い、再発の有無を観察した。

2016年5月から2020年10月までに第Ⅰ相 6例、第Ⅱ相 48例(有効性コホート)が組み入れられた。主要評価項目は2年間の膀胱温存無病生存率(BIDFS)で、BIDFSの定義は筋層浸潤性再発、領域転移または遠隔転移、膀胱摘除術施行の必要性、または死亡がないこととした。主な副次評価項目は12週目の奏効率(ORR)、無転移生存期間(MFS)、OS、安全性だった。

患者の年齢中央値は74歳、臨床病期はT2N0が70%、T3N0が26%、RC不適格が28%、PD-L1発現陽性が46.7%だった。観察期間中央値は第Ⅰ相コホートで46.9カ月、第Ⅱ相コホートで14.6カ月、全体では15.5カ月だった。

第Ⅰ相コホートでは、最初に組み入れられた3例中1例に用量制限毒性(DLT)が発現したため、副腎皮質ステロイドを投与、Pembroの最終投与を受けることができなかった。その後組み入れられた3例にはDLTイベントはなく、治療プロトコルを完遂した。

第Ⅱ相コホートのうち42例(85%)が治療プロトコルを完遂し、うち12例(25%)はゲムシタビンを減量した。ゲムシタビンと放射線療法の両方を中止したのは1例(2%)、ゲムシタビンだけを中止したのは3例(6%)、Pembroを中止したのは4例(8%)だった。

放射線療法終了から12週目のORRは、完全奏効が第Ⅰ相コホートで83%、第Ⅱ相コホートで56%、全体で59%、部分奏効は第Ⅰ相コホート0%、第Ⅱ相コホート8.3%、全体で7.4%だった。

第Ⅱ相コホートにおける1年BIDFSは88%(95%信頼区間[CI]: 0.73-0.95)で、第Ⅰ相コホートと合わせた全体の1年BIDFSは89%(95% CI: 0.76-0.95)であった。また全体の1年MFSは85%(95% CI: 0.71-0.93)であった。

第Ⅱ相コホートにおける治療関連の有害事象(AE)は、多くがグレード1または2であった。グレード1または2の主なAEは、疲労(41.7%)、悪心(35.4%)、下痢(33.3%)、尿意切迫(29.2%)、斑点状丘疹(22.9%)、血小板減少(22.9%)などで、グレード3または4で高頻度だったのは下痢(4.2%)、リンパ球数減少(4.2%)、大腸炎(4.2%)などだった。1例が真菌血症で死亡したが、試験治療との関連はなかった。

Pembroとの関連が疑われるAEも概ねグレード1と2で、主なAEは疲労(25.0%)、斑点状丘疹(22.9%)、ALT上昇(10.4%)、掻痒(10.4%)などだった。9例(19%)が免疫関連有害事象のコントロールのため副腎皮質ステロイドを投与された。

1) Kulkarni GS, et al. J Clin Oncol. 2017; 35(20): 2299-305. 
2) Balar AV, et al. Lancet. 2017; 389(10064): 67-76.
3) Bellmunt J, et al.  N Engl J Med. 2017; 376(11): 1015-26.
4) Antonia SJ, et al.  N Engl J Med. 2018; 379(24): 2342-50. 
5) Twyman-Saint Victor C, et al. Nature. 2015; 520(7547): 373-7
6) Demaria S, et al. JAMA Oncol. 2015; 1(9): 1325-32. 
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監修 神波 大己先生のコメント
MIBCに対する究極のゴールは生涯にわたる膀胱温存無再発生存である。三者併用膀胱温存療法に免疫チェックポイント阻害剤ペムブロリズマブを追加することにより抗癌剤や放射線との相乗効果やdurable responseにより、そのゴールの確実性を高められるかが本試験に期待されるところである。第Ⅱ相コホートで完全奏効率56%、1年BIDFS 88%は短期成績としては評価できるが、やはり放射線晩期障害、局所トラブル率、救済RC率を含めた長期成績の検討が必須である。