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Genitourinary Cancer Today 2022 No.5
APCCC 2022

セッション7:オリゴ転移およびオリゴ進行の前立腺がん

Session7: Oligometastatic and oligoprogressive prostate cancer

「オリゴ進行」前立腺がんは、臨床的意義のある明確な実態として存在するのか。もし存在するなら、どのように治療するか?

Does “oligoprogressive” prostate cancer exist as a distinct clinically meaningful entity and if yes, how to treat it?
Rob Jones氏(University of Glasgow)
更新日:2022年11月14日
Jones氏は、oligoprogressive disease(オリゴ進行)の定義に一般的な総意がないため、ここでは「播種性の転移に対する最初の全身療法が成功した後に、単一/少数の病変に進行がみられた状態」と定義すると前置きし、施行中の全身療法に抵抗性を示すサブクローンが生じる発生機序と一致することから、これらの病変に対し治療を行うことは説得力のある根拠を有すると考察した。しかし前立腺がんにおいてオリゴ進行の存在を直接的に指し示すエビデンスは存在せず、前提にある生物学もほとんど解明されていない。

AR標的薬の治療中に画像検査で進行を認めた転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者における、オリゴ進行(3病変以下)の発生率を検討した単一施設後方視的研究では、102例中30例(29.4%)がオリゴ進行を呈し、そのうち21例は体幹部定位放射線治療(SBRT)が適格とされた。3カ所以上に転移していたのは52例(51.0%)だった1)。AR標的薬の治療下にあり、オリゴ進行(5病変以下)のためSBRTを施行した54例を後方視的に検討した研究では、大部分の患者でPSA奏効が得られ、オリゴ進行の大半が局所療法で治療できる可能性が示唆された。AR標的薬開始からの無増悪生存期間(PFS)の中央値は12.7カ月、AR標的薬開始からの補正生存期間中央値は27.8カ月であった2)。この他にもオリゴ進行の病巣に対するSBRTや手術を後方視的に検討した研究が何件か報告されており、次ライン全身療法までの期間(NEST-FS)は約21カ月、遠隔PFSは約12カ月などのデータが示されている3,4)

現在、前向き試験も進行中である。TRAP試験はAR標的薬に奏効後、従来の画像診断で1~2カ所のオリゴ進行を呈する患者にSBRTを施行する単群試験で、PFSを主要評価項目としている5)。MEDCARE試験は、従来の画像診断で3病変以下のオリゴ進行所見があるMetastases-directed therapy(MDT)の適格患者を対象に、手術かSBRTまたはその両方を施行し、NEST-FSを評価する予定である6)

Jones氏は結論として、オリゴ進行は存在すると考えられるが、現在の画像診断では明確に捉えられておらず、この病態における新規画像診断の役割も不明確であるとした。高精度の治療を行うために画像診断は重要であるとともに、全身療法への耐性に関する生物学も理解する必要があると考察した。治療法に関しては、SBRTは忍容性が高いと考えられるが全ての患者が適格ではなく、標準治療として支持するためのデータも不足していると述べた。

1)Patel PH, et al. Front Oncol. 2022; 12: 862995.
2)Onal C, et al. Prostate. 2021; 81(9): 543-52.
3)Berghen C, et al. Eur Urol Oncol. 2021; 4(2): 305-9.
4)Triggiani L, et al. World J Urol. 2019; 37(12): 2631-7.
5)Targeted Radiotherapy in Androgen-suppressed Prostate Cancer Patients(TRAP試験)
6)Berghen C, et al. BMC Cancer. 2020; 20(1): 457.