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Genitourinary Cancer Today 2022 No.5
APCCC 2022

セッション4:非転移性去勢抵抗性前立腺がんの疾患管理

Session4: Management of non-metastatic CRPC

nmCRPCにおいて分子イメージングを活用する利点

Advantages of Molecular Imaging for nmCRPC
Michael Morris氏(Memorial Sloan Kettering Cancer Center)
更新日:2022年11月14日
従来の画像診断で非転移性去勢抵抗性前立腺がん(nmCRPC)と診断された患者200例をPSMA PETを用いて後方視的に検討したFendlerらの研究では、200例中196例が陽性と判断され、このうち55%はM1であった1)。Morris氏は、nmCRPCが従来の画像診断により不適切に定義付けられた病態であると強調した。分子イメージングによる視覚化は、腫瘍量および腫瘍位置の正確な理解や予後モデルの最適化、新しい治療パラダイムの検証、臨床試験デザインの構築などを進めるために必要不可欠である。また、nmCRPC患者は一般的に無症候性であるため、治療ゴールである無転移生存期間(MFS)を向上させる目的においても高精度な画像診断が重要となる。

MFSは臨床評価項目である全生存期間(OS)の代替指標として用いられる。限局性前立腺がん患者における評価項目の相関関係を検討した研究では、MFSとOSには強い相関があり、MFSはOSの強力な代替指標であることが示された(ケンドールの順位相関係数 0.91)2)。米国食品医薬品局(FDA)のnmCRPCに関するガイダンスにおいても、「nmCRPCから画像診断で検出可能な転移疾患(例:骨転移または内臓転移)への移行は、死亡と関連する臨床的に重要なイベントであり、追加の医療介入が必要である。許容可能な安全性プロファイルを有し、MFSの大幅な延長が認められる薬剤は、臨床的有用性があると考えられ、製品認可を支持し得る」と記述されている3)。この認識によりnmCRPCではダロルタミド(ARAMIS試験)、アパルタミド(SPARTAN試験)、エンザルタミド(PROSPER試験)がMFSベネフィットを有するとして承認されたが4-6)、Morris氏は分子イメージングを用いてMFSを再定義する必要があるとし、そうすることで新たな中間評価項目の構築にもつながる可能性があると述べた。また画像診断上の評価項目は臨床イベントを現すだけでなく、未だ理解が不十分な生物学的イベントも反映すると強調した。現在、Prostate Cancer Foundation(前立腺がん基金)とMovemberの支援により、FDG、PSMAおよびFDHTの画像診断と、採取組織のシングルセルシークエンシングおよびオルガノイドPDXモデルの共同研究が進められており、疾患過程における生物学的変化の理解がより深められると期待されている。

分子イメージングを治療決定の際に用いることで疾患進行を遅らせる可能性も示唆されている。ホルモン感受性前立腺がん患者における前立腺摘除術後の救済放射線治療の施行判断で従来の画像診断に18F-fluciclovine-PET/CTを追加することを検討した EMPIRE-1第Ⅱ/Ⅲ相試験では、従来の画像診断単独群と比べ18F-fluciclovine-PET/CT追加群は無イベント生存期間が延長したことが示された7)。去勢抵抗性前立腺がん患者において同様の傾向が示されるかは、前向き試験で検討する必要がある。

Morris氏は、nmCRPCを視覚化できる画像診断技術は唯一、分子イメージングだけであるとし、データはまだ限られているものの、分子イメージングには臨床的に重要なイベントや強い副作用を伴うかもしれない治療薬の使用を遅延させるという新たな可能性が期待できると述べた。

1)Fendler WP, et al. Clin Cancer Res. 2019; 25(24): 7448-54.
2)Xie W, et al. J Clin Oncol. 2017; 35(27): 3097-104.
3)Nonmetastatic CastrationResistant Prostate Cancer: Considerations for Metastasis-Free Survival Endpoint in Clinical Trials Guidance for Industry
4)Fizazi K, et al. N Engl J Med. 2019; 380(13): 1235-46.
5)Smith MR, et al. N Engl J Med. 2018; 378(15): 1408-18.
6)Hussain M, et al. N Engl J Med. 2018; 378(26): 2465-74.
7)Jani AB, et al. Lancet. 2021; 397(10288): 1895-904.