Genitourinary Cancer Today 2022 No.4
ASCO Annual Meeting 2022:腎細胞がん
#4514 CLEAR試験でレンバチニブ+ペムブロリズマブ併用またはスニチニブを投与した、進行性腎細胞がん患者における後治療の影響
Impact of subsequent therapies in patients with advanced renal cell carcinoma (aRCC) receiving lenvatinib plus pembrolizumab (LEN + PEMBRO) or sunitinib (SUN) in the CLEAR study
Martin Voss氏(Memorial Sloan Kettering Cancer Center)
更新日:2022年9月2日
進行性腎細胞がん(RCC)の一次治療で、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用(LEN+PEMBRO)の投与を受けた患者はスニチニブ単独(SUN)の投与を受けた患者と比べ、無作為化から次治療での増悪または死亡までの期間(PFS2)が、リスク分類を問わず、より長期であることが、第Ⅲ相CLEAR試験から明らかとなった。
本試験では、全身治療歴のない進行性RCC患者1,069例を対象に、1:1:1の割合でLEN+PEMBRO群(レンバチニブ20 mg 1日1回経口投与、ペムブロリズマブ200mg 3週毎静注)と、レンバチニブ(18 mg 1日1回経口投与)+エベロリムス(5 mg 1日1回経口投与)の併用群*、およびSUN群(スニチニブ50 mg 1日1回4週経口投与、2週休薬)の3群に無作為化し検討した結果、LEN+PEMBROはSUNと比べ、主要評価項目の無増悪生存期間と副次評価項目の全生存期間の両項目を有意に向上させたことが報告されている1)。今回の発表では、副次評価項目の一つである治験担当医師評価によるPFS2についてLEN+PEMBROとSUNとで比較した解析結果が報告された。
LEN+PEMBRO群に355例、SUN群に357例が割り付けられた。一次治療を中止したあと次治療に進んだのは、LEN+PEMBRO群が117例(33.0%)、SUN群は206例(57.7%)、無作為化から最初の次治療開始までの期間中央値は、それぞれ12.68カ月、6.62カ月であった。
高頻度に使用された次治療の治療薬は、LEN+PEMBRO群ではカボザンチニブ(14.9%)、アキシチニブ(8.5%)、パゾパニブ(7.0%)などのVEGF阻害薬で、一方SUN群は、ニボルマブ(39.8%)、カボザンチニブ(19.3%)、アキシチニブ(7.8%)などだった。
ITT集団におけるPFS2は、ハザード比(HR)が0.50(95%信頼区間[CI]: 0.39 – 0.65、名目上のp値<0.0001)で、LEN+PEMBRO群がSUN群より延長した。PFS2中央値はLEN+PEMBRO群が未到達、SUN群が28.7カ月、12カ月PFS2率はLEN+PEMBRO群87.6%、SUN群72.5%、24カ月PFS2率はそれぞれ72.7%、54.2%だった。
探索的解析としてMSKCCリスク分類およびIMDCリスク分類による評価も行ったところ、PFS2のHRは、MSKCCリスク分類の低リスクが0.47、中リスク0.53、高リスク0.42、IMDCリスク分類では低リスク0.57、中リスク0.53、高リスク0.37で、リスク分類を問わずLEN+PEMBRO群が延長していた。
*本邦未承認
監修 加藤 大悟先生のコメント
本年2月に本邦で承認されたレンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法の有効性を示す根拠となったCLEAR試験に関する報告である。主要評価項目であるPFSが併用療法群で有意に延長し、増悪または死亡のリスクを減少させたことは既に報告されているが、今回のASCOでは副次評価項目の1つであるPFS2(無作為化から次治療での増悪または死亡までの期間)に関しても、併用療法群がスニチニブ群と比較して有意に延長されたことが報告された。他の免疫療法でもPFS1とPFS2の関連性が示されており、これまで以上に一次治療における奏効率の高さ、PFS1の延長が重視されていると言える。