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Genitourinary Cancer Today 2022 No.4
ASCO Annual Meeting 2022:腎細胞がん

#4512 腎細胞がんにおける腎摘除術後のペムブロリズマブ補助療法:KEYNOTE-564試験から有効性の探索的事後解析

Adjuvant pembrolizumab for postnephrectomy renal cell carcinoma: Expanded efficacy analyses from KEYNOTE-564
Toni Choueiri氏(Dana-Farber Cancer Institute)
更新日:2022年9月2日

再発リスクの高い淡明細胞型腎細胞がん患者において、ペムブロリズマブによる術後補助療法は、プラセボと比べ、無遠隔転移生存期間(DMFS)と最初の次治療までの期間(TFST)、および無作為化から次治療での進行または死亡までの期間(PFS2)を向上させることが、第Ⅲ相KEYNOTE-564試験の探索的事後解析から明らかとなった。

KEYNOTE-564試験は、全身治療歴がなく腎摘除術後の再発リスクが中高リスク(pT2、グレード4または肉腫様のN0M0の患者、pT3でグレード問わず、N0M0の患者)か高リスク(pT4でグレード問わず、N0M0の患者、ステージおよびグレード問わずN+M0の患者)、または原発巣および転移巣が完全切除された994例を対象に、ペムブロリズマブによる術後補助療法(496例)とプラセボ(498例)を比較検討した試験である。ペムブロリズマブは、主要評価項目の治験担当医師評価による無病生存期間において有意な延長効果を示したことが既に報告されている1,2)

今回の探索的解析では、ペムブロリズマブがDMFSとTFST、およびPFS2の延長と関連するかどうかを検討した。観察期間中央値は30.1カ月(データカットオフ日:2021年6月14日)であった。

 

ITT集団における再発率は、局所再発がプラセボ群5.2%に対しペムブロリズマブ群2.6%、遠隔±局所の再発率はプラセボ群28.1%に対しペムブロリズマブ群19.2%であった。

DMFSのハザード比(HR)は0.63(95%信頼区間[CI]: 0.49 – 0.82)で、ペムブロリズマブ群が延長した。24カ月DMFS率はペムブロリズマブ群80.1%、プラセボ群69.9%だった。

TFSTもペムブロリズマブ群が延長し(HR 0.67、95% CI: 0.50 – 0.90)、24カ月TFST率はペムブロリズマブ群86.5%、プラセボ群79.3%だった。薬物治療による次治療を受けた割合は、ペムブロリズマブ群13.5%(67例)、プラセボ群19.9%(99例)で、治療薬の種類は、VEGF/VEGFR阻害薬の単独療法(ペムブロリズマブ群11.5%、プラセボ群13.7%)、抗PD-1/PD-L1抗体薬の単独療法(0.8%、4.2%)、抗PD-1/PD-L1抗体薬+抗CTLA-4抗体薬の併用療法(1.4%、3.6%)などだった。

PFS2もペムブロリズマブ群で延長し(HR 0.57、95% CI: 0.39 – 0.85)、24カ月PFS2率はペムブロリズマブ群92.7%、プラセボ群88.6%、30カ月PFS2率はそれぞれ92.5%、86.1%だった。

新たな安全性上の懸念は認められなかった。

1)Choueiri TK, et al. N Engl J Med. 2021; 385(8): 683-94.

2)Choueiri TK, et al. J Clin Oncol. 2022; 40(suppl 6): Abstract 290.

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監修 加藤 大悟先生のコメント

腎細胞がんの術後補助療法としてのペムブロリズマブの有効性を示したKEYNOTE-564試験のアップデート結果が2022年2月のASCO-GUで発表されたが、今回のASCOでは、プラセボ群と比較してペムブロリズマブ群におけるDMFS、TFST、PFS2を有意に延長することが報告された。他のがん種においても、免疫チェックポイント阻害薬による術後補助療法の有効性が示されつつあるが、無治療でも再発しない症例も存在するため、今後は医療経済的観点からも、術後補助療法を必要とする患者を選定するためのバイオマーカー探索が必須と考えられる。

(岩瀬昭一郎 Shoichiro Iwase)
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