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Genitourinary Cancer Today 2022 No.4
ASCO Annual Meeting 2022:前立腺がん

#5072 転移性ホルモン感受性前立腺がん患者におけるPSA増悪を伴わない画像診断による増悪:ARCHES試験のPost Hoc解析

Radiographic Progression in the Absence of Prostate-Specific Antigen (PSA) Progression in Patients With Metastatic Hormone-Sensitive Prostate Cancer (mHSPC): Post Hoc Analysis of ARCHES.
Andrew Armstrong氏 (Duke University School of Medicine)
更新日:2022年9月2日

転移性ホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)患者においてエンザルタミド+アンドロゲン除去療法(ADT)併用とプラセボ+ADTを比較検討した第Ⅲ相ARCHES試験のPost Hoc解析の結果、エンザルタミド+ADT群では、Prostate Cancer Working Group 2(PCWG2)定義によるPSA増悪やnadirからのPSA上昇を伴わずに、画像診断による増悪が高頻度で起こっていることが分かった。また、画像診断による増悪を呈した症例は、PSA増悪の有無に関わらず全生存期間(OS)が不良なことも示された。

本試験では、mHSPC患者1,150例を1:1の割合でエンザルタミド(160 mg/日)+ADT群とプラセボ+ADT(ADT単独群)に無作為化した。データカットオフの2021年5月28日(観察期間中央値:エンザルタミド+ADT群45.1カ月、ADT単独群44.3カ月)までに、エンザルタミド+ADT群の79例とADT単独群の188例に、独立中央判定の画像診断による増悪が認められた。画像診断による増悪時のPSA中央値は、エンザルタミド+ADT群が2.25 ng/mL、ADT単独群は17.47 ng/mL、nadirからの絶対的上昇中央値はそれぞれ0.77 ng/mL、12.23 ng/mL、nadirからの上昇率中央値はそれぞれ200%、366.86%だった。

画像診断による増悪時、PCWG2定義によるPSA増悪を呈していなかった患者はエンザルタミド+ADT群では67.1%、ADT単独群では42.6%、またnadirから上昇していなかったはそれぞれ34.2%、14.9%だった。

エンザルタミド+ADT群のOS中央値は、PSAと画像の両方で増悪した症例(26例)で18.56カ月、画像診断のみ増悪した症例(53例)では26.22カ月(この2集団の比較によるハザード比[HR]は0.49)、PSAのみ増悪した症例(11例)で23.49カ月、どちらも増悪しなかった症例(484例)では推定不可(NE)(この2集団の比較によるHRは0.10)だった。24カ月OS率はそれぞれ10.6%、50.7%、40.9%、94.4%だった。

ADT単独群のOS中央値は、PSAと画像の両方で増悪した症例(108例)で31.31カ月、画像診断のみ増悪した症例(80例)27.99カ月では(この2集団の比較によるHRは0.74)、PSAのみ増悪した症例(62例)とどちらも増悪しなかった症例(326例)はNE(この2集団の比較によるHRは0.49)だった。24カ月OS率はそれぞれ63.8%、66.4%、86.0%、91.4%だった。

以上の結果から研究グループは、エンザルタミド+ADTなどの強力なアンドロゲン受容体経路阻害薬で治療するmHSPC患者では、PSA値の観察だけでは不十分であり、定期的な画像診断を行い画像上の増悪を検出することが推奨されると考察した。

 
監修 橋本 浩平先生のコメント

エンザルタミド群における画像診断上の増悪症例が少なく、PSAと画像の両方で増悪した症例と画像上のみ増悪した(PSAはnadirから上昇なし、またはPSA上昇はあるがPCWG2の定義を満たさない)症例の予後の違いに結論を出すことは難しい。しかし、エンザルタミド群、プラセボ群の両群において画像上の増悪とOSの関係が明らかとなり、mHSPC治療における定期的な画像診断の重要性を認識することとなった。エンザルタミド群では画像上の増悪時にPSA値が低いこと、PSAがnadirから上昇なく画像上のみ増悪を示した症例がプラセボ群と比較して多いことは教訓的である。